美の巨人たち

長谷川りん二郎。描くのにとても沢山の時間を費やした人らしい。木々なら木々、空なら空と、一つ一つ完成させていくという。そして、風景を描いていて、もし木々の色が変わってしまったら制作は一時中断し、また翌年の同じ季節に持ち越しになるのだという。時間は問題ではないというその精神に、圧倒される・・・。もんのすごいなあ。
そして今日の一枚の絵は愛猫だったというタローの絵。タローはいつも同じ姿勢を取ってくれたという。しかし月が変わると取らなくなった。温度が変わってしまったためだと気付き、翌年にとまた持ち越された。そしてタローの絵がほぼ完成した頃、ヒゲがないことを指摘された。しかしもう季節は変わってしまったため、また次の季節が来るのを待っていた。がしかし、タローは病気にかかり死んでしまった。死後、ヒゲは想像で描かれた。実物を前にしないと書かない画家のスタイルが崩れたそのヒゲはたったの3本。とてもリアルで生々しく温度が伝わってきそうな絵の中で、何かそのヒゲだけ、何か言いたげ。タローの絵はとても良いなあと感じた。