液体か、涙は または水とゆめ

あなたも誰かの日記に記されているのかもしれない

12月17日 芳垣安洋3days 2日目 
VINCENT ATMICUS @新宿Pit Inn

注:長いです


夏ぶりに見るVINCENT ATMICUSということでもうずっとずっと楽しみにしていたこの日。20時過ぎにメンバーが登場するもあれれれれれれれ?みなさん立ち位置が左右反転になってないですか?だって、岡部さんが右にいるしその後ろには太田さん、タイセイさん、松本さんがいる。左には芳垣さんがいて、後ろには勝井さん、高良さんがいる。明らかに左右反転してるよなあ?うん、私がはじめてBridgeで見た時、一番前の左の方で見た時、目の前にいたのは勝井さんだ。しかしうーん、こないだ見たのは7月で、えーと、その時もこうだったっけ?記憶があやふやで絶対的な確信が持てない…。でもでもおかしいおかしい以前はこうではなかったはずだ…。でも誰もなにも触れないし。ちなみに水谷さんはもとからほぼ真ん中にいらっしゃるので変わらないというわけ。 ということでずっと気になっていたのだが、タイセイさんの日記によると11月から変わったらしい。よかった、ほっ、間違ってなかった。理由は岡部さんがコンガを叩く際に後ろ向きにならないようにするためらしい。


始まりは各プレイヤーが一見バラバラに音を散りばめるように出していき、それが徐々に徐々にまとまりを見せかたまって動き出していくという形。ひゃあ久しぶりこのかんじ!私はヴィンセントにおいてこの始まり方が最高に好きだ。深い森の奥の方で誰一人として人間がいなくなった時間に静かに木や水や植物、動物達がこそこそと少しずつ動き出していき、そうしてやっとそこの世界の本来の時間が動き出すかのような感じ。目を閉じて耳をすまして音を聴いているとまさにそんな様が浮かび上がってくる。アンサンブルを重視したバンドというこのバンドらしさを思わず一番掴み感じる瞬間。多分この始まりで聴くのは一年前以来かな?すごい強い幸福感を感じるのだ。
それで1曲目は1stアルバムから、For your sleepless night。うーん、1曲目からクリーニングに出して帰ってきたばかりの背広のようなピンとしたハリのある演奏にしびれる。特にここでは高良さんのヴィブラフォンの技が素晴らしかった。ピットインの鳴りがまた鮮明に音を描き出してくれるようで、すごかったー!連続しながらも一つ一つの音が明確に弾き出されていて、1曲目から胸が高まりまくって悶絶的。
2曲目くつわむしでは太田さんのヴァイオリンが耳に響くこと響くこと。今回やけに太田さんが見やすくて、終始よく見ることが出来たのでよかった。
3曲目DANCIN' IN YOUR HEADではタイセイさんのキーボードさばきがかっこよかった。これに限らずだけれど。今回はじめて右斜めあたりで座って見てたのだけど、ここがものすごい見晴らしがよくて全員常に視界に入ったのだけど、特にタイセイさんの楽器全てを見ることが出来たのは楽しかった。この曲は2.3の短いメロディがパイ生地のように折り畳み重なり繰り返すのが凄く好き。
4曲は☆☆月(月マークは出ないのであしからず)この曲は本当に大好き大好きで。曲の構造がなんともドラマチック。ヴァイオリンとドラム、トロンボーンらとの駆け引き的なところの成り立ちの自然さにいつもうっとりする。太陽が昇り沈み月が昇り沈み、食べられる者がいて食べる者がいて、そうゆう自然界の中での仕組みが見えるような気配がする。1曲の中でどうしてこんなにも世界が描けるのか。特に最後の二人のドラムの高まりは素晴らしかった!細かくどこの部分だったかは忘れたけれど、普段勝井さんと太田さんの2つのヴァイオリンのみで音色出すところをタイセイさんが横笛で同じ音色を吹いていたところがとても素敵だった。今回タイセイさんはよく横笛を吹いていらしたが、んもー素敵だった…。さっきも言ったけれど他にもとにかく今回はタイセイさんもよく見えて、鍵盤もばんばん弾いていたなぁ。そしてその手さばきがまた俊敏で華麗だー。あんなにハッキリその動作が見られて今回はかなり感動。

そして休憩。

5曲目はまた1stからの曲。1stの曲を聴いていると思わずここに菊地さんの音があったとはなぁ…と思わず信じられない気持ちを覚える。聴いているんだけど、なーんかこう生で今のヴィンセントを見聞きしていると想像の世界にぶっとんでしまう。菊地さんのサックスがあったころも好きだけど、でも今のヴィンセントはとにかく無敵パワーがギラギラしているから(マリオで言うならまさに☆を取って高速で七色に変化しながら暴走してるときみたいな)、ここにプラスもマイナスも考えられなくなっている。
6曲目Lester Bは3rdアルバムから。相変わらずやっぱりダブらしさの演出がすごいなと。大きな大きな水槽の中に会場があるようで。ぶくぶくぶくぶくと気泡があちらこちらが浮き上がっていくみたい。水槽の水の色というのも奇妙に色がかった水色や青で染まっているみたい。これはもっともっとこれからも聴いていたいなぁ。
7曲目OFEREREでは芳垣さんがちらりとふったのもあってか、太田さんがこれまた激しく弾くわ弾くわでめちゃくちゃかっこよくてしびれる。あの熱っぽさには見る度体の中心の奥の方からの火山の噴火のようなものを覚える。この曲だったか次の曲かどちらかだったと思うけど、曲の入り方が勝井さんのヴァイオリンから入っていくという初めて聴いた形で新鮮で凄く面白かった。
8曲目MBIR-VAは終わりに近いあたりで、水谷さんのベース→高良さんのヴィブラフォン→松本さん、タイセイさんのトロンボーン→勝井さん、太田さんのヴァイオリンという風に一つのフレーズを順順に重ねて行くところがもーのすごく好きで好きで毎回これの前あたりになるとそわそわしてきて耳をより研ぎ澄ます準備をしてしまう。あの連なりはすーごい素敵なんだよなー。
それでたしかここらへんのどこかで岡部さんの楽器(詳しくはわからないけど叩く系統のもの)が客席側へ倒れてしまった。その時、他のメンバーは、特に水谷さんはおぉっ大丈夫?!という表情を見せていたのだけど、芳垣さんはぜーんぜんなんも顔色を変えず相変わらずしれしれっと手を動かしまくって叩いている。水谷さんはいつもとっても表情豊かな人で、バンドの熱が上がっていってるときの笑みなんて見てるこっちもつられてにやけちゃうほどだし、目を伏せてじっくりバンドの鳴っている音を聴いている時にはその場に深く根差すような佇まいに思わず身がしまる思いになるし、そしてその中から溢れ出てくるベースの太い弦を弾き出すエネルギーさにはとっても憧れるし、素敵な人だと思う。真ん中にいるから余計にそのパワーさが感じられて、周りのメンバーたちとそれぞれに目線を送りあい言葉なくして感じ伝えあっているのが見ていて凄く楽しさが伝わってくる。芳垣さんはいつもだいたいポーカーフェイスでくねくねばしゃばしゃっと魅了させるドラムを叩いていて(だからマイク持って喋った時の妙なおぼつかさとのギャップの激しさを感じる…)、しかしそんな芳垣さんでもやっぱり演奏で熱くなってくるとぐおおおおっとエネルギーが放出されてくるので、そうゆう時を見れるのがなんか妙に嬉しい。私は芳垣さんは最初からイメージとして感情ぶちまける人ではなく抑えたイメージがあって、付け加えてROVOから入ったので自然と近くで見ることも無かったから、最前で見たEmergency!でその芳垣さんの熱さを見て本当に芳垣さんに惚れ入ったのだ。そんなずっと冷静な人間なんていなくって、すごく、人間の血の流れがあらわにストレートに注ぎ込まれ来るようで、見ていて嬉しくなるのかなぁ。
最後のムギの踊りなんてもうそりゃあ楽しすぎて座っていながら体がむずむずゆれゆれしていてしょうがなかった。どうして多くの人たちはなんも動かずに見ていられるのだろうか…私にそんな忍耐はない…(いやもちろん忍耐などでやっているわけじゃないだろうけれど)ヴィンセントはピットインなど座って見るのも好きだけど次はまた立って存分に踊れるくらいででも見たいものだなー。


アンコールへは、ステージに楽器がいっぱいでわざわざ一度ハケるのも手間がかかるということでか、ドアへ一番近い勝井さんだけが一度引っ込んだだけでそのままアンコール。始まりの時だって上手側の方達は客席の後ろへ行って周ってステージへあがってたのだから、それも納得。しかしそう考えるとナッジナッジの時って…。
そして屋上の飛行機凧。最後の最後まで全ての音が凛としていた。


今回のライブは1stと2ndからの曲が中心で、3rdの曲がどんな風にまたたくわえられたか期待していたから3rdの曲がそんなに聴けなかったのは残念でもあったけど、でも同時に1stと2ndの曲もめっちゃくちゃ大好きだから、これはこれでもの凄く嬉しいセットだった。 だって今までに既に存分にCDからより跳躍してライブで肉付けされてきた曲たちがだよ。もう、ありえないくらいに一層アレンジにアレンジが加えられてとんでもなくかっこよくて素晴らしくなっているのだー。もーうあのバンド全体のものとしての巧みな業の素晴らしさには本当に驚いた。曲というものがこんなにまでなるものかと。以前までのアレンジよりも大分複雑化しているように聴こえた。複雑と言うか難解というか。いやべつに聴く方にしたらそんな難解とかいうものではないと思うんだけど、えぇ?!そんな風にやっていってしまうんですか!!!という驚きでいっぱいだったんだよなぁ。驚いたなぁ。なんか羊の肉さばいてるみたいだったなぁ(これは自分で言っていてもよくわからないことだが)

そして岡部さんがコンガを叩く際に後ろ向きにならなくて済むようにということで新しい配置になった様は、おお!!それは見事に大正解だ!!ってくらい、今回のライブでは岡部さんの叩きっぷりという叩きっぷりに打ちのめされた。岡部さんが正面向いてめちゃくちゃむちゃくちゃ叩きまくっている。すげえ。今まで見た岡部さんの中で一番凄みを感じた。そんでもって岡部さんと芳垣さんの叩き合いってなんて素晴らしいんだろうかな。お互いがお互いのことをよくわかっていて、お互いに尊敬しているような関係性が音のせめぎあいから伝わってくるようなのだ。ヴィンセントでは時たま二人のちょっとケンカ腰的な勢いでどちらかからし掛けてきてみたいなことがあるけど、その時の臨場感ってたんまらなくやばい。大抵岡部さんは少年みたく挑発的にやんちゃにけしかけて、芳垣さんはほとんどいつだってクールにポーカーフェイス、でも時々本気さが垣間見えてくるような具合。でもそんなんでも絶対二人の音からボロは出ないというか、二人の音はとけあって一つに昇華していくようである。お互いの音が壊れずひとつになる気がする。すごいことだ。

芳垣さんのドラムはやっぱり大好きで、何がって言われても困るんだけど、手の動きが体の動きがすごく好きだ。手首とかよりも(手首は見えないことが多い)肘から手首にかけてあたりのらへんとか、首をつたっての肩や胸、頭の動きがすごく好き。なんていうか、あの、芳垣さんの身体に流れているリズム、そしてまたそれを感じてこそ身体に表れてくるであろう音にのる身体の流れが好き(推測)。芳垣さんのドラムを叩きながらのなめらかに動く身体には凄く惹かれるものがある。こんな音を出すあの人の身体にはあんな風に音が流れこんでいるのかと思うと、もう益々その人から作り出される音に私は興奮してしまうのだ。なんか、聴く安心感が生まれる。そしてその音に身を預けられる。それはもの凄い安心感であり凄く自分が自分になれる感じがする。だから芳垣さんのドラムが大好きだなぁ。私は楽器を演奏する者でないからあれだけど、芳垣さんのように音楽を感じれる人間になりたいと心のどこかで思っているのかもしれない。そんな風に魅了してくれる芳垣さんはすごくかっこいい。


01.For your sleepless night 02.くつわむし 03.DANCIN' IN YOUR HEAD 04.☆☆月
休憩
05.曲名わからないけど1stから 06.LESTER B 07.OFERERE 08.MBIR-VA 09.MUGI Dance
アンコール 10.屋上の飛行機凧