海を飛ぶ夢 [DVD]

海を飛ぶ夢 [DVD]

スペインを舞台に、尊厳死を扱った作品。主人公のラモン・サンペドロは一生の半分をベッドの上で過ごし、自ら死を望んだ実在の人物。その彼と彼の家族、周辺の人物、また尊厳死を訴えを手助けするための弁護士との微妙な恋愛模様が描かれていて、思い描いていたのとはまた結構違っていて、掴まれながら見ることが出来る作品だった。

一番印象的だったのは、主演のハビエル・バルデムという人がすごくよかったこと。役柄は50歳くらいなんだけど、本人はまだ35歳くらいで、メイクに何時間もかけてのことらしい。見ててもなんも違和感なかったなぁ。頑固で、厳しくて、でも人間らしい深い優しさがあって、人の気持ちを見透かすかのようで、なにかどこかもう既に一線を越えてしまっているかのようななんともいえない儚さがあって、でもやっぱり生きる人間としてあって。ただどうしても、どうしてたとえ愛する人が出来ても、死を望むのだろうかと疑問に思いながら見た。そして自分を愛する人こそ、自分の死の手助けをしてくれる人と見るというところはなぜか理解出来るんだけど、愛すことが出来る人がいるのに死を望むというのは、まだ私には分かりきれない問題なのかな。映画から、そこまで死を望む心理が描かれきれていないというわけではなく、私はただ、それだけそれだけ強く死という信念のようなものを持ち続けている人がいるということが衝撃的であり、少しの不思議としても映った。それだけそこに、私にはまだ分かりえぬ深いものが存在しているのだろうかな。それがすごく印象的に残された。

普段からわりと日本映画を好んで見るし、しかもそんなにお金のかかっていない…そうゆうのが好きだから、こう久々に外国のお金がそれなりにかかってる感じのまとまな映画を見ると凄く新鮮だった。登場人物一人一人がしっかりと画面の中に映し出されているのが印象的だったなー。なんだか異様に顔がくっきりこちらに訴えかけてくるようで。内容的にも一人一人しっかりと描かれていてよかった。ラモンの夢見る映像として、飛んでいるような視覚の映像はあまり好みでなく、ああゆう感じは苦手。けれど弁護士フレアとの模様はとても美しくて凄く新鮮で好きだった。フレア役の人もきれいだったなぁ。この2人の関係がまたいい具合に入ってくるんだよなぁ。
あと驚いたのは、音楽がすごくよかったこと!音楽も監督が手がけているらしいのだけど、どれもとっても新鮮で流れるたびなんじゃこの音楽!というかんじ。いかにも自分の知らない“外国の音楽”だなーというかんじで、聴いてて楽しかったな。世界には魅力的な音楽がたっくさんあるんだよなぁということを思い知らされたり。