「空中キャンプ」id:zoot32さんが毎年行っている「2008年の映画をふりかえる」というアンケートに参加します。
これまでは見に行った映画が一桁なこともあって、なんとなく参加せずのままだったけれど、今年は今日までで14回映画館に行ったのではじめて参加。私は大学に入るまでほとんど映画を見ない人間だったし、レンタルもレンタル屋のカードをいつも作り逃すため今でもほとんどしたことがないし、大学に入ってからは友達や授業・先生の影響で図書館であれこれ見るようになり、そのため映画館に14回というのは私にとってははじめてで、多いんです。
空中キャンプさん(なぜか日記名を名前のように言ってしまっています)は、たしか2005年のはじめころから偶然見かけて読むように。それから更新されるのをいつも楽しみに読んでいます。それから今までで一番好きなのは、ビンラディンの話で、今でもはじめて読んだ時の自分内沸点の高さは忘れられない。もちろん映画の感想も、書籍の話もすきです。インターネット上での人様の文章に内容に限らずいつもすきだと思い、わくわくするのは今までに空中キャンプさんふくめ2人しかいない感じがする。ついでに、インターネットを使い始めて8年、自分で日記を書き始めて7年くらいが経過するなか、人様の日記/ブログを、学校で、友達に、口で、おもしろい人があるんだよと教えたのは空中キャンプさんのところだけである。たぶんまさにビンラディンのときだったかもしれない。本当におもしろくておもしろくて、ビンラディンという人にこんな扱い方があるんだと驚いたもんだから、きっとそれを誰かしらに伝えたかったんだと思う。ええとではそろそろ。


1. 名前(id、もしくはテキトーな名前)/性別
qyu / 女 


2. 2008年に劇場公開された映画でよかったものを3つ教えてください
「ぐるりのこと。」
落下の王国
トウキョウソナタ

ベスト3はどれも人間の力強さをとくにざあざあと感じた点で選びました。それに面白みにもあふれている。「ぐるりのこと。」はとくに力強さがはんぱなく、はじめからさいごまで本当にどこのどれをとってもぐぐぐぐぐぐっとくる作品で、すごくうれしい。たぶんこれは大切すぎて2回目を見るのははがゆさがある。


3. 2で選んだ映画の中で、印象に残っている場面をひとつ教えてください
「ぐるりのこと。」と「落下の王国」は統合的なとこでの印象が根強く、だからこそ2の問いであげる作品であり、しかしガつっと印象深いシーンというと「トウキョウソナタ」ラストのピアノのシーン。の、香川照之小泉今日子の夫婦役の2人を映したカットのとこは、映画のはじまりからずっと(どうしたらいいんだこれは…)と、目の前に流れる映像に対して、自分のこと、自分についてをどう対応させて判断すればいいのだかわからない、混乱不思議がまきおこっていて、最後のピアノシーンも未だにどうすればいいんだろうという感じがあるけれど(そこにまた惹かれているわけで)、その中にさしこまれた夫婦のカットは2人だけが特別なにかに導かれるような、まるで天使の迎えが来たんじゃないかってのような、気づきの驚きや発見のような啓示に導かれる感じがして印象深かった。
また香川照之は、朝日新聞での自らの執筆記事で(俳優さんがこんなんするのは滅多にない)このシーンの表情は監督へのオマージュだと書いていた。どうゆうことかは私にはわからないが、この記事のこともすっかり忘れて映画を見たところ、このカット・表情に惹かれた自分がいて、改めて味わい深いものと思う。また黒沢清監督が同じく新聞で「いまの日本に息苦しさを感じる若い人にこそ見てほしい」と言っていたのも印象深い。同じようなことを「スカイ・クロラ」で言っていた押井守は、常に自分より年上の人に向けた映画は撮ってきてないと言っていたが、同じように映画監督として地位を確立している黒沢清もまた今作品への思いとしてそうゆうとこがあるんだと思うと若者に配属されうる私としてはなんだか色々考える。


4. 今年いちばんよかったなと思う役者さんは誰ですか
蒼井優加瀬亮の2人をあげたい。それぞれ3作品で見た。
蒼井優はとくに「人のセックスを笑うな」のえんちゃんは今年見た中で一番好きな人だった。見た映画すべてでの最も好きなシーンも同映画での彼女にかっさられていて、みるめ(松山ケンイチ)とえんちゃん(バイト着で(この服がまたちょーいい)モップを持っている)がバイト先の映画館で2人だけでやりとりをするシーンで、この蒼井優には身もだえを覚える。みるめとえんちゃんという関係の、えんちゃんという女の子の色んな方向からのさまざまな思いをみごとに蒼井優のひとつ、ひとりの身体でしっかり表してくれてる!ってとてもうれしく感じた。えんちゃんとユリ、えんちゃんと堂本、の関係もすごく好きで、も、ほんとえんちゃん。加瀬亮は「ぐるりのこと。」の被告人役はとくに感動。「TOKYO!」でも作品世界になじみこんでて、どの作品でもその役が立ち現われてきてて、ひとつひとつであり連続でもあった。


5. ひとことコメント
14回足を運んだ映画館のうち、はじめて行ったシネスイッチ銀座は作りがやや古めかしくて、またそこで見たのが50年以上前の作品「赤い風船/白い馬」で、映画のにおいとして印象的だった。「落下の王国」は新宿武蔵野館のちっさいスクリーンなのにもう圧倒的にぐるんっと360度作品世界に連れこまれたように感じたほど物語に入ってしまって大きくゆさぶられた。感情がざぶんとやってきた。「スカイ・クロラ」は真夏の池袋で見て、外へ足を踏み出した時に感じたキーンとした陽射しや熱っぽさや人ごみの雑音とが、さっきまで見ていた物語を一気にむせかえらせてきた。そんなふうに、映画館という場に足を運んで映画を見ることは、ただ映画の内容だけがあるんじゃないことをよくよく味わった気がします。




以上です。ながいかも。私はわりと邦画を選ぶし、お金がないからどの映画を見るかにもかなりかなり吟味しているのだけど、だからこそ貪欲に映画館に行ったところもあるかもしれないと思う。また、なぜか近所のシネコンでミニシアター系の作品がいくつも短い期間ではあるけれど上映してくれていたのがありがたかった。「スカイクロラ」は映画から原作へとどぷっとはまった。いっぱい考えた。現代小説にはまるのは珍しい私。映画の声優ではとくに谷原章介の声が全体にひびいたかんじでよかった。コーエン兄弟の「ノーカントリー」はじつに気持ちの良い、大好きな「ファーゴ」に似た質感だったのもうれしかったし、また終わり方もとても惹きこまれた。魅力的と思う。映像のきれいさでも強いし、ベスト3に迷ったけれど、たぶんこれは上手いからこそのストンと整頓された感もあって、逆にベスト3はバラの花みたいにとげとげがあってひっかかりがある感じであって、だからちょっとコーエン兄弟作品は違う領域の感じがしている。なのでこのアンケートにはいくつもの段階の「選ぶ」という行為があらわれているのではないかと。