わたしを離さないで

わたしを離さないで

図書館で借りた一冊。土曜日の朝に読み始めたらまるまるぐるっとひきこまれて、朝ごはんも昼ごはんも食べずによみつづけて15時半ごろ読み終えた。うああああなんておもしろい、すばらしいんだろう…と圧倒され、その勢いでこの人の書いた本をもっと読みたい欲にかられ、ちょうど一緒に借りていた他の本も読み終えていたので、図書館へ返却しに行くことにした。もちろん他に作品が置いてあれば借りるつもりで。
図書館までは自転車で15分くらい。15分で行ける図書館はふたつある。つまり両方の中間地点あたりにある家。まあでも片方はあんまりいい図書がないイメージなので片方にしか行かない。8月15日の16時ごろなのでまだまだ明るく陽が全面にふりそそぐなかをのろのろなんだかささーとなんだかわからない運動を繰り返しながら車ばかりがはびこっている道筋をひたすらまっすぐ。最終的に左に道を折れる、住宅街になり、すこやかなくだり〜のぼりの坂道。このながれの途中に一軒なかなか素敵なお庭のおうちがあって、いつもいいな〜とうらやましいばかりに目をづらづらと向けてしまう。家もはちみつ色っぽい作りで、さながらイギリスっぽいかんじを思う。お庭の草花がいいかんじなんだなあ。バラのアーチもしつらえられていて、妙にこれは心くすぐられるアイテムだと思う。全体のバランスがいい。うちはルーフバルコニー、2階だから、土は当然ないわけで、それでも母が長年集めてきている植木鉢等々いっぱいあるけど、ああやっぱ庭、土もいいよなあと思う。
ええと話がずいぶんそれた。カズオ・イシグロの作品はとりあえず他に一冊あったのでそれを借りた。ここはそんなに大きなとこじゃないからまあ2作品あっただけでもいいか。とりあえず6冊くらい借りたような。選ぶのはいつもながらやみくもに時間がかかる。うろうろしているとあれやこれや読んでみたいと思わされるけど、ほんとに自分に読める集中力があるか、よみにくそうじゃないか、ほんとに読みたいのかとかとかむだに考えすぎと思う。
まあ基本は2週間内で読みとおせる分だけ借りるようにということ。わたしはほんと集中力が少ない方と思うから、あんまがつがつ読めない。読みやすい小説ならともかく(文章として、魅力さとして)。だから読むのにすごく時間がかかることもあるから、借り過ぎ厳禁ということをみょうにかまえてる。
朝から何も食べてなかったので本を選んでる最中におなかがなる。ふらふらしながら帰りの自転車をこぐ。途中100メートルくらいだけブタクサいとこがあるのでそこでは自動的に鼻の息の根を止める。あつい。帰ってNHKの子どもニュースなど見たりした。朝刊も読む。

アウシュヴィッツを越えて―少女アナの物語ロンドン歩けば…
一緒に返却した本二冊。ホロコーストに関する本を最近つづけて読んでいる。










腑抜けども、悲しみの愛を見せろ [DVD]
レンタル屋で映画五本を借りて来たのでそれを見たりもした。「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」は内容についてはそういえば全然知らなかったけれど、なんとなく見てみたいと思わされる情報を以前にどこかで得たのかなんなのかで手に取っておくことにしたら、山本浩司が出てきておぉっと期待感みたいなとこがあがる。この人はまた最後まで期待を裏切らない役柄でよかった。永作博美が特にすごいなあという印象。見ている自分はこの映画にひかれてるんだかひいてるんだかよくわからない。様々な点が狂騒的なかんじがすぎていて、なんなんじゃこれは…というのと(主に登場人物たちのキャラクター、普遍的なような、ぶっこわれてるような、真意が実に疑わしく見える人間たち)、でもそこまでぶっとんでるとそれはそれでリアルさとしてアリのものに思えてしまうから物語の進行にふんふんとついていける。ラストまでの一歩手前あたりがちょっと長く感じられた。


蟲師 (通常版) [DVD]蟲師」は、ああこれはなんかだめだわあという残念な気持ちになってしまう。私は原作は読んでおらず、アニメで見てとてもこころうたれたという立場であって、実写映画でもあの雰囲気があるのかな〜と思って、どこか期待して見たら、ああやっぱりそれは無理か…という落胆の気持ち。まあ一話完結の物語を映画という大きな枠組みにもっていってどうにかしようとするというのは、ああならざるをえないのかな…と思うに至った。蟲のことも、登場人物たちの気持ちとかも、情景描写とかも、どれも散漫しているように感じられた。んんむ。


蛇イチゴ [DVD]蛇イチゴ」はよかった。初監督作品ながらも、安定感安心感を感じてしまうのはその後の作品見てるせいかな。でもやっぱ物語として、登場人物たちの揺れ動きやそれぞれが腹にすえている思いなどは時に色の濃淡や温度のようにして感じられてそれが作品全体の地盤の強さみたいなのに通じてるのかなと思うけど、それとともに流れる空気の一定さみたいな視線・視点のふれなささというとこが作品を見ることのこちらの姿勢をぶらせず直視させる、体験させることになっているように思える。あーやっぱ西川美和のラストのしめ方というのはいいなあと思った。


ローズ・イン・タイドランド [DVD]ローズ・イン・タイドランド」は公開されたとき見てみたいなあと思っていたものだった。ファンタジーでかわいい女の子。この女の子がひたすら世界に没頭している具合は演じてるとかどうとか関係ないようで見ていてなんだか圧倒されさえした。でもなんだろうなあ、自分が子供の頃からほとんど空想やら人形やら自分の世界を作りこんでいくとかいう作業をしたことがないせいか、そういう作業をすることのできる人間、こどもにひがみを覚えてしまったりするから、ファンタジーはやっぱ私には向かないのかな…。そしてなんとなく物語が長々しく感じられてしまって集中できない。でも、美術セットや衣装などはよかった。でもなんか、のめりこめなくて、ついていけなくて。


息子の部屋 [DVD]「息子の部屋」はイタリア映画でパルムドール賞も受賞しているという。ずっと前から見たいと思っていた。公開時に思ったんだろうか。いつかどこかでなにかしらの情報が植えられたのだろうなあ。なんとなく頭の中にふるい感じのするその自分が見たいと思った時の感情的なものが記憶としてのこっている。これはこれは、よかったな。特にラストが非常にひっぱられつまれるようなもので、画としても美しくて、頭に残るおわり。説明的な感じが少なく、はぶかれてるような、そぎおとされているような印象を受けた。言葉ももちろん役割をきちんとになっているけど、それより登場人物たちの表情のあらわれの方によく目が行きこちらへとそれが届く感じがした。なんだろうなあ簡単にどこをどう良かったと言えない具合。でもこうゆう映画はやはりイメージとしてとても残りやすい映画と思う、自分の中で。言葉でなく感覚でまたそのイメージを捉えて残るような。


昨日息子の部屋を見終えてレンタル屋に返しに行き、帰りにスーパーにより、ものを袋に詰めていると、隣にいたおばさんが毎週日曜にやっている抽選会の紙を二枚くれた。ここは近所でなくべつに滅多に来ないからとくれた。久々に他者(この場合あからさまだけど)と会話をしたようなここち。