液体か、涙は または水とゆめ

あなたも誰かの日記に記されているのかもしれない

27日金曜、ピットインでアルタードステイツ結成20周年記念の3日目、アルタードステイツplaysキングクリムゾンへ行ってみた。母も行ってみたいというので、一緒に、まあ昔聴いてたというし。いくらなんでも母と一緒にライブに行く日があろうとは、と少し思った。まあきっと今日は混んでるだろうなと予想してたけど、予想以上、激混みであった。はじめてピットインで立ち見となった。客層は90か95パーセントくらい男性、しかも年齢層たかいなというのがわかった。聴いてるのはクリムゾンキングの宮殿のみ、それも約1か月前にはじめて聴いたというよな私はずいぶんなひよひよひよっこだろうと思った。まあしかし、この客層感にひさしぶりになんかおののくというか、ひくというか、圧倒されるよな感じをおぼえた。

ゲストの方々はこちら。岡本洋(Key)、 デニス・ガン(Vo, G)、 塩谷博之(Sax, Fl)、 吉田隆一(Ts, Fl, Bs)、 デヴィッド・マシコ(Vo)、 青木タイセイ(Tb, Key)
そしてなんと1stセットの終わりに、1曲のみ参加で勝井さんが登場。ヴァイオリンの、と聞いたら勝井さんしか浮かばなかったけど、あたった、ラッキー。アルタード3人と岡本さんと勝井さんでの演奏。少人数になってより音が繊細に、緻密によりすべてをのみこむようにまきあげていく、かーっこいいい!聴いてない、知らない曲ではあったんだけど、これが一番キングクリムゾンてことを離れて聴けた曲だったと思う。なにかが生まれ、熱があがっていく、その過程をこんな目の前で聴けることの興奮さがかけめぐった。クリムゾンの音源を聴いてみたいところ。

1stセットは「ポセイドンのめざめ」、「リザード」というアルバムから(勝井さん参加曲はたしか別)。2ndでは「クリムゾン・キングの宮殿」の完全再現。アンコールは「レッド」から。私がまともに好きで聴いてる洋楽といえばYESとサイモン&ガーファンクルくらいなのだけど、宮殿を聴いてこのふたつよりもより自然になじみよく受け入れられたところがあったので、初めて聴く曲が続いてもどれもとても楽しめた。聴きごたえある演奏だからっていうのはもちろん、つまりクリムゾンって私すきなんだな。どうして今まで誰も教えてくれなかったんだろう?って思わず思うくらい、とてもストレートに私の好きな音楽だと思う。

宮殿を聴いて、これをアルタードで、これを芳垣さんが出す音で聴けるのならば、そりゃあすばらしいことだろうと思っていて、そのときすでに芳垣さんのドラムの音に脳内想像変換されていたんだけど、その想像幸福感が知らない曲でもたしかに生まれてたので、なんだかそういう部分でむふむふぐふっとした気分でいた。また、ナスノさんのベースと芳垣さんとのリズムの2人の演奏は何度もはっとするようなことがあった。クリアーな音ですごく耳に残ったな。アルタードはこれまでに2.3度見てるが、私にはやや難解なような、手ごわいような印象があり、すすんで聴きにいきにくいとこがあった。でも、クリムゾンを聴いて、そして今回のライブを見てなんとなく考えが変わったというか、動いた感じがあり、ああ、アルタードもっと聴けるかも?と思う。というか、アルタードがやってる音楽がなんなのか〜というとこに、具体性はないんだけどなにか近づけたような感じがあって、アルタードが手に負えないように感じてたのはだいぶ意味がわからない感じがあったからと思うし、クリムゾンが媒介になってそれが溶けたように思う。

それに限らず、クリムゾン聴いたことによって私にはだいぶ変化というか、流動さが耳と脳のなかに生まれたように思う。頭もかたい私は耳もすっかりこり固まり衰えていくだけかと思ったいたけど、24でもまだ大丈夫だったか、まだこういう可能性あるんだな、とやや驚き。宮殿を聴いたとき、初めて聴く音楽なのにどうしてこうもなじみあるような、近いものを知っているような、こんなものがあるんだという奇抜さなどではなく今現在身近にあるものとしてああこういうことをする人たちもいるのね、といった落ち着きをもって耳にすることができるのか?と思ったんだけど、それって私がこれまでに聴いてる音楽ととても親密性があるからじゃないかと、単純に思った。まあそれしか考えられない…。

宮殿だけで言えばとりあえずVINCENT ATMICUSが頭をまずよぎったのだ。似てるというか近いというかなんかこういう言葉じゃそぐわないような、静寂さや恍惚さや全体の緻密で繊細でそしてはね返るような一体としたグルーヴ感やらやらの全体のふろしきの広げ方というか、その有り様において、近く、似たもののように感じる。私のヴィンセントとクリムゾンに感じる楽しさが似てるというのか。まあヴィンセントだけじゃないのだ。いろんなどれもが総合的にたちあがって、クリムゾンにすんなり入っていける耐性みたいのつけてくれたと思う。

他の色んな人の音楽、芳垣さんのやられている音楽のどれでも、クリムゾンの音が69年から存在していたことを思うと、聞こえ方が変わってくるように思う。なんか久々に、音楽に限らずだけど歴史というか、過去、順を知ることって、大切で、絶対じゃないけど、それによって楽しめることわかることってたくさんあるなってことを感じた。今目の前にあるものはそれのみで突然できあがったんではないということ、その前にあるものごとを知らないと理解できないものもあるということ、あー、なんで今までそれを音楽できづいてなかったんだろうと思うと、なさけない。無意識でそうゆう作業してたころもあるとは思うけど。ああわたしすごくばか。

ライブの話が全然ないけど、私はたぶん英語ネイティブの人が英語で歌ってるのを初めて見聞きした!と思うので、デニス、デヴィッド両氏の歌を聴くのも結構わなわなと新鮮で驚きで感動するよなとこがあった。特にデニスさんが体でかくてちょこんとしたメガネかけててマイクに向かう姿はなんかそれっぽくて(なんというか…)うれしくなった。

2人が一緒に歌うのに立つときいがいは芳垣さんがとてもよく見えて、うれしうれし。どの曲だったか忘れた(たぶん宮殿の流れの中)けど、ドラムのスティックからすささっと瞬時に毛糸のついたようなスティックに持ち替えていった時のすばやさが見ものだった。無駄な動きなし。しかし芳垣さんが楽譜見つめてるのとか新鮮で、妙に思った。楽譜がすごく縛りのように見えてしまって、いつもの芳垣さんが薄れるような気がして最初残念に思ったりもしたけど、徐々に解き放たれて緊張のなかに音を正確に送りこんでいく芳垣さんの姿が見えたのでいやな思いはふっとんだ。あと、芳垣さんて自分がリーダーで自分がMCでマイク持って喋る時はくらい感じに喋るし、時になんか自虐的なような喋りをするように思うけど(メンバーと笑いながらのときももちろんあるが)、アルタードだと内橋さんがMCになるし、それだと芳垣さんはマイク通さないで済むからかずいぶん楽しそうに喋ってるなと思った。この企画に挑むこと自体のおもしろさ、真剣と同時のおかしさみたいなものもあるんだろうが。そういえばちょうどピットインの中に入る時、チケット引き換えするとこの一番狭くなるとこで芳垣さんとすれ違ったのだが、ピットインでこう至近距離ですれ違う時はいつもそうだけど、険しいかんじの顔つきで目があって、軽くこわい、おののく。でも先月行った時は開演前、客席にいた知り合いの方と芳垣さんが喋っておられてそのすぐななめうしろにいた私はそれだけでどきどきはらりとした。

キーボードの岡本さんは名前は知ってたけどはじめて見た。岡本さんも関西出身。キーボード4つ5つくらいあったと思うけど、見事にすべてを冷静にやりくりしてる姿がこわいくらいだった。すごくかっこよかった。タイセイさんはサブキーボードにトロンボーンはたぶん1曲のみと思うけど、その姿がりりしい。左奥に座っておられるのが、メガネかけてて、かわいらしい…と思った。塩谷さんのフルートの凛とした硬質な美しさや吉田さんのフルート、バスクラ、テナーサックスの穏やかさも豪快さも、うわっと切り裂くような展開を見せてくれた。もーすんごい素敵なのだ。

先月のRADM Jazで永積さんゲストに、芳垣さんはじめ4人の演奏者がその場で永積さんが歌う歌・ギターに即興で音をあわせていく、というのも一種の一回限りの再現みたいなものだったように思うし、そのすばらしさ・おもしろさに驚嘆したけど、今回終わった際に内橋さんがもう一生やりませんといったように、この日のためだけに本気で再現演奏をするというその完璧さにもまた、言葉にならない表には出ないみぶるいを感じずにはいられない。うわー、すごかった。ということでクリムゾン色々聴かねばならない…。