携帯より

beautiful world という曲をきいて美しさとはなんだろうとふと思った朝
といかけが私の中に風をおこして
といかけを走り去らせたことすら意志のないまま慌ただしく家を走り出る

ただ走り抜けることだけを目的にしているその運動のなか
常にそこに存在しているのであろうゆるぎなく変わりつづけるものに目があった

ああ、世界の美しさはここにあったのか
すべてが帰結し円を結ぶかのような何かに包まれるようなあたたかみが体に染みひろがる
美しさはどこに隠れるともなくただ頭上にあった
存在することのつよみ
なのかもしれない

安堵とまぬけさと
ああ、と心臓がうなずく

うなずきが体中にこだました



ようやく吉野弘の『生命は』がのった本を買った。この詩がすごく好きだ。詩集ではなく詩のすすめというエッセイ本みたいな。この本、ひじょーにおもしろい。最近ことばやらやらがわきでてくるとこがあり、もんもんと考えるとこがあったのとシンクロしたかんじがある。ことばについてこんなに考えて捉えて口にしてくれているというのが、もう、キラキラキラキラ朝露ながめるみたいにときめきながら興味深くよんでいる。眺めているというか。言葉に対する向き合い方がたのしくおもしろく、私の知らない世界が遠くにひろがっているかんじ。そんで私も詩みたようなものがつくってみたい、どうにか詩みたようなものに昇華できないだろうかと考えて少しやってみた練習?いやあまりに不完全。吉野さんも言っている、わからないものをわかったかのように書いてみても曖昧なものにしかならないと。だけどなんだかこの携帯がそろそろ壊れそうで、この携帯でつくったこれをこの携帯で送っとかなと思って、その切なさ、きれぎれさだけで送信する。