中上健次枯木灘という作品を読んでみて、うわあすげえなこの人というはっきりした印象。狭い暗い閉じこめられたような世界。しかし山と海と太陽と土地のにおい、人間の目がぎらぎら匂い立ちこめている。血と路地。その二つにぬりこめられている。逃れられないもの、世界。主人公秋幸をはじめ、他のどの人間にも共通するかなしみみたいなものがあって、それはすべて土地に染み着かれ、支配された者たちの逃れられない運命のよう。
なんだろうななんなんだろうなあこのとてつもないこの良さらしきものは、良さの具体的中身を語れない思いというのは小説ではよくする、まだできないこと。前から読んでみたくて、そんでもってなんか私好きそうだと思っていて、そしたら案の定であり、いやそんなことを軽々しく思って申し訳ないくらいにすごく強度のある作品、文体、描写だとも思い。なるほどこの人はあちこちで名前がでてくるだけあるんだなと少しわかった。恐ろしさと優しさが両手にすくいあげられているみたいなかんじ。両手のなかにある。
読んでいてとても面白くわくわくした。久々にそんな気分になった。他も読んでいきたい。おかげで和歌山にますますの興味。昔、まだ日曜の夜に世界遺産がやっていたころに見た熊野にひかれ、その後漱石の行人を読んでなんだか惹かれ(和歌山のどこだったか?)、なぜかそんなに多い要素ではないが和歌山は行ってみたい気がしている。どんなところか見てみたい、太陽とか空とか風とか。行ってみたい土地というのは大抵みんなそんな感じ。旅行がしたいとはすなわちそれ。いろんな土地を見てみたいんだな。そして写真うまくなりたい。


仕事は立ちっぱなしが多くて疲れる。なるべく湯船。そして羅針盤YouTubeからかける。いやし。なぜか山本さん熱再燃。クリティックよんだら、やっぱこの人へんへんなんだなとわかった。すごいな。おもしろいな。