液体か、涙は または水とゆめ

あなたも誰かの日記に記されているのかもしれない

今年最後のライブは年末恒例の大友さん連続公演@新宿ピットイン。26日、初日の夜公演。ぶじ仕事納めして新宿へ出てタワレコでCD3枚買っちゃって、いやなんかこの歳になってもCD3枚買っちゃってからのライブだなんてうはうはしちゃうもんね。というか、そんなことが、買い物ができる、お金を出せるということがまだ本当は疑えてしまうくらいなんだけれど、そんなささやかな幸せを味わえてしまうそれははたして本当なのかというか、私はそんなことができるような人間として値しているのかという疑問は背後に寄り添っている事実。でもまあいっかとなんで私ごときがお金をもらえるのかの疑問はほおってもらえてるんだからもうけもんだくらいの軽い気持ちへふわっととび降りる。それくらいの人間にはなったらしい。3枚に内訳はキセルとろぼと空気人形のサントラ。キセルは先月のロフト、ユースト生中継ライブ、こないだのインストアと結構見てたせいかアルバムはよい感じと受け入れられた。

ようやくライブの話。いつもに増し増しで男性率たかしの年齢層たかしに見えた。私ももうけっこう年とったと思うんだけど、いやはやここではまだまだおこちゃまなもんだわと低姿勢な気持ち。こないだのろぼとかでも全体にお客の層がそのまんま年とってきてる感じはしたし、男性率高いライブだって昔からけっこう多かったし、言ってしまえば仕事だって男性ばっかのとこでやってきているはずなのに、時々みょうに自分が異分子のように思えてしまう瞬間があったりして、それは自意識過剰なんだけど自分で自分のその感覚に驚かされる、びびるという。

なかへ入るとステージではなく客席で5人が円になっての演奏。それをお客が取り囲む。そして生音。PAもモニターもない。
むむー、なんとか芳垣さんが見える席につく。人の隙間から芳垣さんを向かって右ななめあたりから見るかんじ。これはふだんだと絶対見れない角度である。そこらへんは見ててもすんごい面白かったな。芳垣さんがバスドラが奥へずれてってしまうのを手で瞬時に直すだけでなく足でもたぶん引いて直してたと思われるのが、おおっと地味に感動するとか。人の隙間から見るのと相まって余計にふだんとは違うところから見ちゃってます的なのぞき見感があったような。
ステージでやったって最前にいけばそりゃ近いがやはりすべてがフラットになった状態で見聞きができるのは貴重なもんで、ふだん見れない角度から、お客全員からは360度丸裸に見られてしまうわけだから、こちらとしてもいつもと違った3Dになったような立体感として見えてくる感じがするところが断然面白い。
生音はまた音の近さを感じられる。実際にはステージでやるより音はひろわれないから明瞭さなどが減る。けれどその場で出たまんまのぼおっとした存在感の音というのは日常音みたような身近さを感じる。家のどこかで鳴っている音のような。音楽としての音というりりしさと、おだやかな響きとしての音の両方がたっていて、川の流れみたいに、近所の川に来たみたいな心地で見て聞いているようなものだった。
特に芳垣さん水谷さん一楽さんの音はすごいことになるなと。生で出すまんまの威力が、まるで凶器でさえもあるくらいの迫力を存在感として露出してくる強度を感じた。音がそこで生まれているという目の前のリアルさが音のでかさとかそうゆうの抜きにした時に確実に出ちゃうんだなあと実感した。
私は特に芳垣さん水谷さんが一緒にやるのってめっちゃ大好きで、この2人のプレイにはなにか極上のやわらかさに顔をすりあてているかのようなまどろみを見てしまう。水谷さんは久しぶりに見たけれどなんか相変わらず中性的なフェロモンみたいなもんを放出していらっしゃる感じだった。めーっちゃかっこよかったなあ。
そして私は芳垣さんがほんとうに大好きだと思った。音を見せてくれるから。もうかれこれ12年もファンなんだ私!と思ったら勝手ながら喜ばしくなった。芳垣さんのドラムはいろんなものを見せてくれるし聞かせてくれるし、私にとってはとってもとってもなくならないくらい多種多様な果実がなっている森のようなところだと思う。本当にひとつひとつの音が芳垣さんが必要と判断して出している音なんだとわかってしまうというか伝わってみえてしまうことがあって、そんなんは他でそうそうないわけだから我ながらびびるくらい、わ、芳垣さんすごい!そしてそれが見えちゃう私もどうなってるんだ!とそのときは思う。わたし相当ファンだもんね!と我ながら思う。まあ実際そこまでライブ網羅してるとかじゃ全然ないんだけど、でも、もう芳垣さんの音が自分に組成されちゃってる感を最近は感じ得ずにいられない。リズムが私んなかで生まれちゃう。それもうどうしようもない。
あじつはライブ前日が夜現場あったおかげで眠さがやってきていてライブ中またもやこっくりこっくりが往来していた。でもなんかこくこくきちゃってふぁっと目が覚めた瞬間の体のゆれがまた音楽になじんでしまうようなそんな感覚もまたちょっと楽しかったりして。いやもうこのライブで寝るって贅沢すぎっと思うんだけど。
でもこないだのアルタードステイツ+七尾旅人は内橋さんと旅人のかけあいが強すぎて芳垣さんがいつもより感じられず残念で次はやっぱアルタード3人のライブにこなきゃだめだと反省したんだけど、今回は芳垣さんを堪能できたのがよかったなあ。私は大友さんファンではないものの、やはり大友さんと芳垣さんの長年のつき合いのなかで生まれてくる音楽には絶対の信頼があるかなあと思う。
2年前のやはり年末ライブでは今このメンバーで朝ドラ録ってますなんていうまさかそんなに大友さんがメジャーになるとは思いもしなかったときだけど、そんときの大友さんが楽譜忘れてどんなふうにやるんだっけとなったときすかさず芳垣さんがささっとこうでこうでしょと教える場面が印象的で、ああそうゆうもんなんだなあと思った。考えてみたら私が芳垣さんに完全ノックアウトされたのは最前で見てしまったemergency!だった。大友さんも一緒だったんだなあ。そんなわけで来年の年末企画もまたたのしみだ。
あれやこれやと考えや思いや想像をめぐらせてくれるライブに行くのはやっぱりたのしくて、音楽はやっぱり私にとって一番の先生なんだなっと確認した年内最後のライブ。来年もまたいろいろ見に行けるといいな。