今 こうして聞いているのに
どこかで聞いたことのある気がする
いつかどこかで
今聞いているのにそれは今ではなく今ではなく今を感じず今を忘れよと言わんばかりの遠い記憶のように頭にかすめてくる
重い鉛がにぶくなるみたいに
幅をもった長いよどみが横切る
手に持つことのできる絵巻物もしくは箱のような
私はいつかそれを見ていただろうか
頼りない記憶が
それでも切なさ
はるかかなたむかしに抱きしめていた
しまわれたまま
とじこめられている
もうそれはそこでしかいきられない
この響きは
なに
私はどこで聞いていた
ずっと探し惑わなくてはならな