先週の火曜日、これまたひっさびさ、はたまた12年くらいぶりにNHK-FMライブビートの公開録音に行ってきた。なんとなんとのようやくのキセルライブビート初登場。昔は往復はがきでの応募だったのに、今はネット応募だった。てか番組の放送がいつのまにか月一になっていた。時々新聞のらじお欄見て、久々に聞こう思っては忘れてしまうものの毎週やってるんだとばかり思ったけど、たしかに考えてみれば昔は毎週のように録音もあって、一回で2.3組撮るのが常だったことを思うとそれってなかなかハードな、まあ毎週放送があるからそりゃそうなんだろうけど、今から考えるとなんだかすごい番組があったもんだなというのと、それを楽しんでいた自分と、また、いつの間にか聞かなくなってしまったなにか、その流れ?過程?もはや理由なんてわからない変わってしまったことに対する無情なかわいた切なさやらやら色々混在するしかし確かに私に大きな影響を与えてくれた番組であり、青春だなあ。思い出いっぱいありすぎるもん、ライブビートには。

さて当選はがきには505スタジオでなくふれあいホールで収録、そして入る順番決めの事前抽選がありますとのことが書いてある。これでもう505スタジオに行くことはなくなってしまったのかと思うと妙に切ない。ああ。そしてラフに着た順にならぶあの制度も消え失せたか。どんな日でもただ黙々と並び待った日々があわい思い出。
事前抽選ではスーツのおじさんたちがきびきび来場者をさばいていく。私はいいのかどうなんか、30番代。あの番号抽選はなんだかんだで早めの時間にひいた人が早めの番号になるようにできているんだろうか。ひいた時、中に入ってる番号札はあきらかに少なかったから常に少なめにして都度追加してるのか。
18:15になって80番台までが下の階で並ばされる。スーツを着たおじさんたちがさばく。ライブビートなのに、ライブビートをそんなおじさんたちがさばいているのが変な気がしてしょうがない。携帯の電源を切れ切れ連呼。
中へ入ると椅子席ではあるけど客席はただひらたい。それだけ505スタジオと同じだ。最前列がひと席だけあいていたからそこに座ってみるも、うわ、なんか近い。ステージ高さはまあまああるんだけど、しかし椅子席でこんな最前列なんて、お芝居的な近さっていうか、スタンディングで最前とはまた違う。まあキセルは昔間近で見ること多かったけど、ひやはや久々にあんな最前列の緊張と照れくささ。2人のはざま、やや弟よりくらい。

拍手練習も昔と変わらず。そして19時すぎにキセル登場。今回はゆうこさんとエマーソンさんでの4人。登場から兄が腰ひくい。しかし視界がステージでいっぱいだ。最前列で映画館的な目ん玉いっぱいに4人が写りこむ。魚眼レンズを装着しているような感じ。ステージを見上げる形になったからそうなんだろうけど、これはまた初体験な感覚で、おかげで主に私の視覚がフル回転して疲れたくらい。

1曲目は春。春だからやってるのかな最近。でもこの日の前後さむくって、そんなズレたアンバランスさが良いような気がした。キセルが歌いだせば春はある心地にもっていかれるのだな。

一応以下覚えている限りのセットリストだけど、いやもっとやった曲があるような特に後半いやでもないような、最終頭がぽーっとしすぎてしまって覚えていようと思った心意気がいつの間にかどこかに飛び消えていた。時間的には80分くらいやったと思う。


くちなしの丘
今日のすべて
時をはなれて
花に変わる
そこにいる
ミナスの夢
高田渡さんカバー おなじみの短い手紙
細野晴臣さんカバー 終わりの季節
ピクニック
町医者
声だけ聴こえる
アンコール たまにはね


バンドのキセル。昔はなんとなくあまり好きじゃないところがあって2人でやる方が好きで、それははじめてみたのがライジングサンだったからなのか?バンドサウンドだとごちゃっと聞こえてしまう気がした。
でも今はなにか違うんだなあと思う。特に今回間近で見て、ああそうかそうかと納得するようなところがあった。2人がゆうこさんやエマーソンさんと目を合わせ息を合わせ演奏している姿はまさにバンドだった。互いに信頼しあって一緒に演奏している仲間なんだなあってそのまんま伝わってきちゃって、その生のやりとりが生まれているバンドを見ていることが楽しくて嬉しくてにやついちゃう。典型的ないいバンド!
それでいて2人だけでやる時間、曲もバンドとは切り替えのようであり地続きのようでもあるように感じられる。2人だけでやってくれるのはすごくうれしいと思う。二人の声と音がシンプルにまっすぐに聴こえてくる。まっさらな木みたいに。素材そのものという手ごたえ。でも決してそれだけがいいってんではなく、2人があって、バンドもあって、両方が互いを繋ぎあってる感じがするんだな。この道はバンドの馬力ですすむし、次の曲がり道は歩をゆるめて2人で進む、また次の曲がり道は、ってかんじ。

兄のギターをガン見した。うわあなんてなめらかなんだろうって思っちゃう。するするするり。けっこうけっこう動くよね兄のギター。アコギのとき、あ、そのコード知ってるよ!ってなるのが個人的には今楽しい。弟の指はあんなのか細かったっけか。いや細い白い。相変わらずのこぎりを弾きゆらす様がいいねと思う。繊細なのこぎりの音が、2人だけでやるときにすごくすごくひびいてくる。高い音も低い音も、信じられないような音が出る。でもそれがすんごい心地よくてその音についていきたくなるような、ほおを当てて寝そべりたくなるような音。やわらかでなめらか、ふかふかしているような記憶のなか。いつもすごくきれいな音を出す。あののこぎりの見た目からは想像がつかないというか、記憶のなかで漂う音。

沢山のものを見た気がする。もうこれでもかってくらい、見て見て見た。脳内処理追いつかなくなったんだな。

私的には高田渡さんカバー、細野さんカバー、そしてピクニックという流れがすごくよかった!て、これではやはり2人がすきなんかーいって話になっちゃうけれど。でもねえピクニックがうれしくてたまらんかったなあ。嬉しすぎて口パクで一緒に歌っちゃったくらい。私やっぱり近未来を一番聴きこんでるから、近未来の曲やられちゃうともうへなへなになっちゃう。

でも今近未来を聴くと、兄の声もけっこう変わったんだなって気づく。なんだか急にそこにぐっといろんなつまるものを感じちゃったりした。ああすごく楽しかった。自分の中ですごく楽しいことがたくさんあったライブだったなあ。ライブ見るのたのしいなあ。