7月9日syrup16gツアーKranke最終日@NHKホール
1日目も2日目もほぼ変わりばえのしない位置の3階席前方。1日目は違うところも選べたけど、どうせならほぼ同じ位置から比べ見てみようかということにした。2階の後ろとかよりはよく見えてよいのかもしれない。

2日目は19:03ころ、スタート。幕があがり、五十嵐さんが右手を上にあげてるのを見た。3回目となると3人がステージに立っている光景に慣れてきたみたい。なぜか私の前にあたる人たちがみんな最初から座っていたりはじまって早々に座ってくれたおかげで、1日目より席はさがったのに視界はかなり良好!フルに見える快調。

1曲目、冷たい掌 、やっぱり今日も泣きそう。しかし昨日と同じく1曲目の宿命なのか音が小さく聞こえる、出だしのパワーを感じにくい。でもやはり3階は総じて音の聞こえは良い。五十嵐さんの声も出だし悪かったと聞くけど、私のとこでは全然感じず。中畑さんのハイハット入りでぐっと引き寄せられる。五十嵐さんは出だしの方で声が裏返る、たしか1日目もそうだったかも。でもなんかリラックスしてやれてる感じする。それはみてるこっちの慣れにすぎないのか。それがすごい、二日連続って、また昨日と同じように同じ場所に3人が立っているなんて夢みたいでもあり、でももう遠くない。終わってローディーさんが替えのギター持ってくるのがめっちゃ動作早くて驚く。

2曲目、生きているよりマシさ、もう君はーのくだりだかで客席にむかってうたれる照明がよい。スクリーンに3人の影うつるのも良いし、どう考えても映像なしの照明さん仕事で見せるほうがいいなあと思う。聞けば聞くほどよい曲。hurtの曲が音源より川ころがって角のとれた石みたいになってくようなかんじになってきててうれしい。

3曲目、To be honor 、なんせ好きなこの曲、もはや待ちかまえるようにそわそわする。 出だしの方歌詞があやうく聞こえた。五十嵐さんはときどきぼんやりした歌い方をする。なんか母音ちゃんと発音しないというか。しかし中盤から声量急に出してくる。空気読むなが最高すぎる。

4曲目、HELPLESS 、もうわかったけど私このイントロの五十嵐さんのギターが超すきなんだ。ジャカジャーッン、の鳴らし方が細かにひだにひっかかる感じが、たまらない。ちょうちょうすきすき。音源ではジャーンッだから、ライブアレンジなのね。それだけで曲の印象はかなり変わるし、とにかく全体に違う曲かってくらいのバンドサウンドのように思う。おもしろい。

5曲目、Stop brain 、これの入りのギターもすきっていうか、そっからエンジンかかりまくってくる自分の。からのまきりんベースお出ましが超うきうきわくわく。

6曲目、My Song 、一番よくなってた。イントロなんてすらすら。すこしずつ好きになった。

7曲目、明日を落としても、この日は6弦のぶっとい音もなかったような。非常にきれい。ちなみに両日ともギターは解散バージョンの演奏。私は生還のほうで練習をつんでいる、解散のほうはまだできないしやらない。でも大先生きれいに音だすなあ。この日はあーし、あしたを落としてもーとまた繰り返しサビの歌い出しでミスってしまっていたが全然悪くなかった。

8曲目、正常 、たぶんこの日のベストな1曲。3公演のなかでも1番良かったし仙台から良かったけど、やればやるほどぐんぐん密度が増していってしまうんだろうという曲なんではないか。とにかくまきりんべーすは歌おわりからのラストがすんごいいいということも再度思う、この曲は特にすごい。3人の熱量がふきだしてくるようで、なにも邪魔するものがない。すんごく気持ちよくてのまれてしまう。それはただ連れていかれてしまうよう。

9曲目、負け犬、を、負け犬やるんだ!と。紫照明がなんかはまってたな。パープルムカデでも出てくるけどそれはベタだから、負け犬のときはステージ前面にベターっと紫色の照明が当たっていて曲にうまくそっていた。

10曲目、吐く血 、この曲でお客さんみんなのりのりだったら楽しいのにな。という願望。相変わらずパッパッと切り替わる赤と黄色の照明が曲と歌詞と演奏者と歌い手と聞き手と、妙にすべての人が個人的に違う方向を、各々に好きなようにいることを感じさせるシュールなかんじがする。うまく言い表せない。なかよしこよしみたいなポップソングなのに、内実は自分のまわりしか見てない感じがよく出ている。中畑さんのふぁさふぁさ浮きしずみゆれる髪の毛が楽しそうに見えちゃうこの曲。

11曲目、Share the light 、この日もがっつりひずませギター。うんうんかっこいい。昔はこんな太い音出さなかったかもな。サビでもりあがるっちゃ盛り上がるわけだけど、全体に低空飛行でいく感じが音源よりもいいなと思わされるポイント。音源にはもうちょっと華やかさが出てるような。サビの中畑さんのコーラスが印象的。なんとなく去年のフォーラムと違うような?去年はコーラスなかったのかな。最後の方で2人のハモりがばっちりで驚いたくらい。

12曲目、天才 、何から何までほぼ完璧だったんじゃなかろうか。この日のベスト2に入る。オイッ!があんなきれいにはまったのを聞けるなんて、感動をこえた、ぞくっと破裂する興奮が下から上へ駆けあがった。クーデターリリース前後に最も見に行ってた気がするから、天才、神のカルマは懐かしみの親しさを特に感じるような。だからこそ最終日に完璧にもってこれたところに熱くなった。こんだけ決まりゃあやってる側も気持ちよいんじゃないかなと想像する。

13曲目、真空 、曲入りにて五十嵐さんがっしりギターかきむしる。足をがつっとストレッチで上半身のばすときかってくらい両足を開いてふんばってかきむしっていたのがなかなかの印象に残る。ちょっとおもしろかったな、かっこいいんだけどなんかギタリストってかっこつけてます動作すると面白くなっちゃうのは宿命かな。

14曲目、パープルムカデ、いつもどおりしんみり気分で見ちゃうのはそのまんま昔見た光景の気分に戻ってしまうからなんだろう。天王洲のファクトリー収録スタジオでほぼ最後列から見た、そこは天井も高くて四角い箱で、ライブ中も照明があかるいからステージもお客さんも壁も照明もなんもかんもよく見えてて、妙に客観的に見るような視点だったからそれでよく覚えているのかなと思うし、その時の自分の感覚が冷めていて、呆然と見るようだったから、どうもその時と同じような心境に陥るらしい。でも後半から意識が記憶から現在に戻ってきてもり返す。

15曲目、神のカルマ、後半かな、歌詞とんでいた。神のカルマではよくなる気がする。ずっとやっててもそうゆうもんなんだな。もはや鬼門気味かな。でもやっぱこれいいなって思わされるのは最後

最新ビデオの棚の前で
2時間以上も立ちつくして
何も借りれない
何を借りればいい

ここに見ることのできるものって、永遠性のように失われないし変わらないなあ自分のなかで。考えてみると中畑さんのコーラスのときの歌声と雄叫びするときのワイルドさと声量と、使い分けできるところがすごいな。

16曲目、Thank you、この日は君にセンキューをではなかったから昨日聞けたのはラッキーだったかなー。そういえば1日目のときに歌入りのとこで中畑さんが、というかまきりんもなのかな、音源だと一緒に音鳴ってるはずなのに2人は入っていなかった。あれ?と思って中畑さん見たらあえて止めたというか、アレンジとしてそうしてるのかなと思ったけど仙台の時はそんなことなかった気もするしで、アレンジなのか?な?くらいに思った。なのでこの日もよく見ておいたら、やはりライブアレンジのようだった。こう、ざっと、体も一緒に引っ込むように息をひそめとめて、そっからまたバンっと入っていく中畑さんがかっこいいなーっていうか、そんときだけはなにかかわいらしい感じがした不思議。このアレンジのところはなかなか楽しい。

アンコール1曲目、vampire's store、アンコールで1発目に音が小さく聞こえるのはなんとなくやはり残念。3階だから?しょうがないのかな。でもこの曲はホールの響きにすごくよくあっているみたい。もっと他の曲にはさまれたところで聞いてみたい。

アンコール2曲目、落堕、なんとかライブ終わりにメモした一言感想をもとにここまで書いてきているけど1日目を先に書いたプラス日が経ってきているせいかもう1曲ごとの感想で書くことがなくなってきている。この日の楽堕がどんなんだったか思い出せない。ギターは大丈夫だったはず。一言感想にはらくだこんなに聞けてしあわせと書いてある。なんだそれは。あとはあやふやというかよくわからないけど、後半ソロみたいなとこのギターが弾き方自体違うようにも思えたがどうなんだろう。コード弾きみたいになってたというか。でも1日目はそこらへん気づいてもいないし、自信がない。

ダブルアンコールで3人が出てくると、なんとまきりんが患者Tではなく一人特注であろう医者Tを着て登場。しかも前に出てきてアピール。ほんと、一番もりあがったところだったな。スーパードクターと中畑さんからももてはやされる。五十嵐さんからお医者さんから一言お願いしますと言われ、今日はありがとうございます。と喋ったまきりん。まきりんが喋った!という驚きを隠せない。私はシロップライブでまきりんが喋ったのなんてはじめて聞いた。おどろきおどろき。いやほんと医者T着て出てきただけでもすごいけど、五十嵐さんがうながして喋ってさらに五十嵐さんがちょっとすべったねとか返す流れが、うわーと思った。3人は今こんな感じでやれてるんだなあと思うと、気が抜けたような安心感。そして愛してるぜーと叫びながら

ダブルアンコール1曲目、coup d'etat〜空をなくす、福岡でやったというシロップの声さ〜も聞いてみたかったなー、ならず。改めてアルバムクーデターの曲の歌詞はいいなと思う。この時にしか書けなかったものが詰まっているようにも思う。塾から帰るガキの〜とか、私はこれ十代のころはよくわからなかったんじゃないかと思うけど、自分もそっちのガキに近いわけだし、これは二十代半ばくらいからぐっとくるようになった気がする。

空をなくすおわりで五十嵐さんが喋り始める。以下あやふや記憶の要約。ツアーも終わってみれば楽しかった。全然関係ないこと喋っていいですか、友達いないから話す人いなくて。昨日の夜帰って寝ようと思うんだけどなかなか寝れなくて、あれ知ってますか?と問いかけるもあれがなかなか出てこず三言くらいつまってから、明晰夢と出てくる。夢を見ていることを夢の中で自分が認識してるみたいな、これは夢だとわかってるみたいやつだと思うんだけど、その夢のなかできらきらしたお花畑みたいなとこにいてかわいい小動物とかやさしいお姉さんもいてここにずっといたらいいんじゃないかと思ったんだけど、急に怖くなってきて起きたと。でもあのとき起きてよかった、あそこより今の方が数十倍数百倍楽しい(観客沸く)あのまま寝てたら死んでたねー。がんばって起きてよかった、また来てね!と。すらすら喋っててうわあーと思った。こんなふうに喋ってるのを聞くことがまたあるなんてなあ。いつぶりだというのもないけど、なんか遠い昔の夕焼けの風景みたいなそんな霞んだにおいがした。また来てね!の声がやっぱりとても澄んでて一番の美声っぷりだったなと思うくらい。ホールだと喋り声もすごくきれいに響くのかな。また来てねって、ぜんぜん当たり前じゃないこととして響いてきちゃうからなあこのバンドにおいては。

ダブルアンコール2曲目、Reborn、というわけで泣かせるねえ。正直この曲で終わるかもなあという予測はしていた、するしかないというか、仙台と福岡でやったのもあって、東京もこれでくるんじゃないかなあと思わずにいられなかった。五十嵐さんはこの歌を嫌いだと言い、しかしこの曲のもつ人をひきつける魅力のことも認める発言をしていて、その振れ幅っていうのはわかるようでわからないところであった気がする。なぜなら自分がたいして思い入れなかったからなんだけど、やはりギターで弾き語りしてみると、歌ってみるとこの曲のでかさみたいなもんに開かれてしまって、それで少し理解が進んだ。
そのうえで五十嵐さんにとって、シロップにとってこの曲はどんななんだろうと思うと、立派ないい曲になっているんだろうなあ思う。じゃないと解散最後にやったり復帰第1曲目にやったりわかりやすい節目にもってこないんじゃないかなと思うけど。まあそこにはお客さんから求められるものとしてこたえているとか、そうゆう役割をどこかからか背負ってしまったとも言えるだけかもしれないが、そうだとしてもそんな曲があるのは悪くないんじゃなかろうか。
そういったものを多少なりとも受け入れてる時点でバンドにとっては立ち位置のある曲になってるだろうと思う。でも、特別な曲ではなくていいとも思う。だから時々さらっとやってもいい曲とも思う。むしろさらっとやってるかなって気もするけど聞く側がなかなかそうもいかないって気もする。そんなごちゃごちゃが入り混じるけど、仙台とあわせて2回聞けたのはよかったな。最後に聞くと、清々しいんだな。
最後に客席の方も照明全部ついてたしかそのときスクリーンとかも一切ひっこんでてステージ上の一番背面の幕のみになって全てがさらされて、そのときなんの欠けもない3人の姿形格好と音とが目に写って、なんともいえない気持ちになった。もう置いていかれるくらいバンドとして成立している様に圧倒されたような気持ちと、またこれからどんなふうに音を鳴らしていくバンドになっていくのかがすごく楽しみにもなった。私は新曲もどれも好きだし、未発表曲を聞いてみたい気もするけど、今この3人でやれることをやっていってそれを見せてくれたらそれが一番だなあと思う。ここにきてどんな風になっていくか未知でもあるバンドになってきた感じがすごく面白い。
モーサムは変わっていくのが常みたいなもんだから、そのこと自体には驚かないしなあ。そこは解散してたバンドの特権として、また改めていろんなもん見せてもらえるといいなあって思う。シロップにこうゆう期待できるって、なかったな。新曲だって待たずともやってきて、そこには安定があった。もちろんそれが好きだったけど、また違う面ももちあわせてきたというところにわくわくする。
私が見てた昔のシロップとは全然違うところがある。それは私のなかでの変わったものの影響も大きくあるだろうけど、1日目初っぱなに見た、3人としてたっていることをあんなにはっきりと感じることはなかったから。そこで同じスリーピースでも全然違う認識でいたモーサムのことを思い出した。それで、シロップにも三角があったんだなーって、ほけーっと思ったんだよなあそんとき。それが3階から見たから気付けたというのなら、それはそれでラッキーだったんだなと思うし。ホールでやっても全然負けないバンドなんだなあと、腑に落ちた。

全体の出来栄えや勢いみたなものでいったら、1日目の方があった気がする。お客さんの熱気とか、そこに互いにぶつかっていく感じとか。2daysというなかでそれが1日目にでてたのは面白かった。でも2日目の方が曲ごとでいったら完成度が増したものや、流れのよさみたいなものは感じられた。6公演を通してきた良さが出てたような。どちらの日にも良さがあったし、アンコールの選曲もそれぞれに生きていた感じがした。
昨年からHurt、Krankeとリリースしてツアーして、次にどうゆう風に活動していくのかとかは一切わからないけど、けっこう気楽に考えられるようになったかもしれない。3公演見て満たされたせいかもしれないが。そのせいか、ライブまではかなり音源を聞きこんでいたのにパッタリ聞かなくというか聞けなくなった。ライブの余韻みたいなものに浸ってしまってて、音源の音を聞く気になれない。あらゆる曲のいろんな場面が耳に目に残ってしまっている。どうせ薄れ忘れていって改変されていく記憶にすぎないけれど、熱でやかれたみたいにじりじりしている。たのしかったなあ。いつかメビウスゲートやってくれるのかなあ。やるとしたらどんな風なんかなあとかもうそうゆうのが楽しみ。今を進んでゆくシロップが見れるなんて、やっぱり夢みたいだけど、そしたら今生きてることがだいたい夢みたいだ。

外からの見栄えは仙台市民会館が圧倒的によかった。

渋谷駅まで帰る。