液体か、涙は または水とゆめ

あなたも誰かの日記に記されているのかもしれない

11月のとりこぼしvol.2もほんとはまだある。なんせ舞台も観に行き美術館、ギャラリーも行き、ライブも行き。どれもどんどん忘れていくようででも実際はそんなこともないんだということに行き当たる。まあそれはツイッターでちょこっとはつぶやいたりする、その時々にやっぱり思ったり考えたりの作業が少しはあるからそのおかげだろうか。でも結局ツイッターはひとつひとつ、箇条書きみたいなもので、日記のようにだらだらーっと連ねて書くのとは違う。だから違う役割だ。

とりあえず先に、昨日THE ELEMENTS OF KING CRIMSON TOUR in JAPAN 2015@オーチャードホールを見に行った。4daysのうちの二日目。これが私の海外のバンドのワンマンライブ初体験。いやあまあそんな日がくるなんて。もともと十代の頃から洋楽にうといまま来て、まあそれでも最近ようやくちょこちょこ聞き出したくらい。そのなかでもプログレは大学生の頃に知って、そののちnhk-fmプログレ三昧あったりアルタードステイツあったりでロックなどより自分には親和性が高い気がしたほう。でもクリムゾンはぜんぶがぜんぶをプログレというジャンル的なものでくくれないのかなと思うし、まあ私もそもそもプログレおっかけるほどではないんだけど、クリムゾンの音楽は幅が広くてそれが単純におもしろいしかっこいいと思う。クリムゾン聞いちゃうと、ちょっと、もう色んなことがすでにここで起こっていたんだという気にさせられてしまったりするし。自分が生まれるよりももうずっと前に、と。まあ今回はお金出してもらえなかったらチケットは買えなかったよなあ。15000円だもの。母にはありがたや。

客層はやっぱりおじさんたちがほぼほぼを占める。時折若い人もいる。でも見渡す限りおじさんだ。おじさんたちはだいたいみんな黒い上着を着ていてみんなしかし嬉しそうだ。世の中にはこうゆうおじさんたちがいっぱいいるもんなんだなと思う。みんな若い時があったりなんかして、その頃から好きな人たちにとってはなんかきっとすごく胸が高まっちゃうことなんだろうな。なんだろう、そんな風にずっと好きでありつづけられるほどの存在であるって、すごいなあ。私は今後どんどんおばさんになっていって、その時も音楽があるのかなあ。どうなんだろうなあ。

初日が終わったところですごい贅沢なセットリストだとわかる。まあ日本の前の海外のツアーの時点でのセットリスト見てたらそうなのかあってわかっていたけれど。でも私なんかにゃ結局それらをやることがどんだけすごいのかってのも意味が薄いんだけれど、それでも、なかなか今までにはやらなかった昔の曲が演奏されているっていうことの大きさは伝わってくる。なんていうかそれはラッキーだなと思っていた。私もアルバムをぜんぶ聞いてるわけではないため、有名どころやってくれるってのはあの曲を聞けるのかあと単純にうれしい。

席は3回の左サイド席。今年はシロップも同じような3階サイド席だったから見やすさはあるかなあというのと、音もいいのかなと思っていたが。やはり見やすさはよい。特にトリプルドラムの3人の手さばきがよく見えたのはよかった。しかしドラムがステージ前で横並び、他のギター、サックス、ベースが後ろのひな壇っていうのも、そんなんありなんかいっていうような並びだと思った。でも、このメンバー7人が均質に距離をとったなかで淡々と粛々とでもかのように演奏が進んでいくのはできあがった、熟されたようなかっこよさがあった。舞台セットだって飾ったものはなんもない。照明だってほぼシンプル。他の国でもそうなのか知らんが誰も一言も喋らないわけだし。だけど最後も存在感ですべてを言い示しているようでもあった。

2曲目で21st Century Schizoid Manがきた。ここでヴォーカルが初めて入ってくるその瞬間がひやっとした。歌がある曲とない曲ではまたぜんぜんべつものの感じがして、歌ありの曲はぐいぐいぐいっとその歌声によって曲中へはいっていける感じがした。ジャッコ・ジャクスジクの歌声はまあまあ良いんじゃなかろうか。くしゃあ〜っとした苦虫噛みつぶすようなこの曲の雰囲気で一気に引きこまれた。景色が匂いが変わる。そしてメル・コリンズのソロがめちゃくちゃきれいでかっこいい。うっひゃあーと心うきだつ。
そして3曲目Epitaph、うわーほんものだーっていう感じ。やっぱりもともとは昔の音楽と思って聞き始めているから、それが、今目の前で鳴らされているというのはなにか揺さぶりをうける。エピタフはいいなあ好きだなあ、今朝起きて一番にエピタフ口ずさんじゃったんだなあ。
とりあえず超凝視でステージを見ていたので途中で疲れてきたくらい。目に焼き付けておかねばというような欲が出てしまう。あらゆることが興味深い。よくよく見といていつでもあとから思い出せるものにしておかねば見逃してはいかんという思い。
トニー・レヴィンは映像で見てて弾き様がいいなあと思っていたんだけど、実際もかっこよかったー。やっぱ背高い人は映えるなー。楽器交換もスマート。いかついのにお茶目な感じがいいんだろうなあ。メル・コリンズはフルートやサックスなどいくつか吹いていたと思うけど、ソロのときはマイクに近づいて吹く、その音がブレがなくて整えられた太さと繊細さとを兼ね備えた見事な音色。この管楽器の響き、描写が私はすごいすきだなーって思うしプログレ、クリムゾンのイメージとしてはでかい。こんなにもろに、メインに管楽器が鳴る音楽がロックの中にあるんだ!あったんだ!っていう。でもそれが決して昔のままじゃなくて今鳴っている、ぶるぶる震える音のリアリティとしてこちらに届いてきたことにただ興奮した。
トリプルドラムは全体的に私の席では音の出方、聞こえ方がよくない、好みでない気がしてそこがちょっと残念だったんだよなあ。どうもドラムの音がこもって聞こえがちで、でもうそうゆう全体バランスの出し方なのかもわからない。ドラムに限らず、ぜんぶのそれぞれの音がどうもはっきり聞こえづらく全体としても弱く聞こえた。ふだんライブハウスとか行ってるのとの違いのせいなのか。でも特にドラムはもっとビシッとした音が聞こえてきたらいいのにと思ってしまった。もっそり、ぼとっとした音だったなあ。しかし、3人ともみごとに息が合っていてそこはすごかった。単純にパート分けみたいにしている曲とかあったけど、あれってやってる側としてはどんな感じなのかな?とか気になる。要はひとりで叩いててもいいようなものを3人でわけると、あれは1階前列とかで見てたらその効果感がわかるのかなあ。3階の視線からだと3人で順番こだったりするのがよく見えてわかるんだけど、それってめんどうな感じなのかな?とか楽になることなのかな?とか疑問。でも音としての効果は曲によってはおもしろいのかと。でもその諸々がとにかく今回の席ではよくつかめなかった。それが正直残念すぎる。
トリプルドラムの真ん中のビル・リーフリンは鍵盤を兼任しているからツインドラムであることもしばしばあって、その構成の曲のほうが全体バランスはいいかなあと思ってしまった。3人でびしっと決めてるところもかっこいいんだけど、ツインのときのほうが左右の2人のドラムが生き生きしている感じがしてしまう。2人ともドラムセットの数が多いなとは始まる前から思っていたんだけど、右のギャヴィン・ハリソンが一番イケメンだなって感じでこの人のプレイが一番かっこいいところ叩いてる感じがした。シンバルをバシバシっときめていくあたりとか。でもなんか、かったるそうにも見えたのはなぜ。上からだと表情もけっこう見えて、なんか叩き方が時におもしろくなさそうに見えた。そして左のパット・マステロットは小道具的打楽器を使っていたのではないかな。また、片手スティックでもう片手は手のひらで叩いてたりもして、おおそんなんもありなんだっという色々細かなプレイが目をひいた。一度で3人のドラムプレイヤーを見れるというのは考えてみたら超お得だったなあそうか。
ロバート・フリップは一番イギリス紳士を体現しているかのような振る舞い出で立ちで、ひとりはっきりとした存在感があるようだった。立っているその場から音が出てきているということを感じさせる。うしろの席のおじさんが開演前にフリップはわからないんだよなあだから惹かれちゃうんだよなあみたいなことを音楽うんちくだらだらに語りまくっていたけど、まあ昔からのファンの人たちにとってはそんなようなカリスマ性のある人なのかなあと。派手な熱いプレイも一切なく、椅子についてただこつこつと音を出して積み重ねていって音楽を描いていっているように見える。はじめて見聞きするのに、すごくよくできた音だという印象を抱かせられた。
一曲一曲が教会にかけられたステンドグラスの絵のような誠実で狂いのない描かれた音楽だなあと思った。静謐ななか、ほんとうに一曲一曲が奥行きがどこまでも広がっていくようなどこまでもいってしまいそうな果てのないような心地になってしまう。
個人的に一番聞けるのを楽しみにしていたのはEasy Moneyだったのだが、うしろのおじさんがなぜか拍手で一緒にのっちゃっててそれがほんとうに嫌だった。でもめっちゃかっこよかったー。なんか肉食ってきてる人たちの音楽だなあみたいな、音の厚さのバランスにそんな赤肉が見えるようだった。そうだなあ、全体の音のバランス感覚が印象的だったのかもなあ。筋肉質だよなあ。
一番印象深かったのはstarlessの中盤あたりで入ってくるギターの同じフレーズの繰り返し。これはじりじりとひたすら同じ刻みを繰り返していくことによる効果が大きいと思うんだけど、ここはジャッコがひき出して。でも、あれ?、なんかちょっと違うよね、簡略化してるよね、なにか足りないよね、えー、これでいいの?こんななの?残念と思っていたら最後の最後にフリップにバトンタッチ、したら、すごい、それだけで世界が変わった。フリップの正確な刻みのギターはまさに本物だった。ううわーこれがホンモノなんだ!と感動した。すごいな。音がびしっと立っていて、目の前で振り子がゆれているみたいだった。

アンコールでThe Court of the Crimson Kingがはじまったのもまたぶるるっときた。ここにきたんだったというような感覚が呼びさまれる感じ。しかしおじさんたちの歓喜、盛り上がり方はやっぱちょっと時代を感じる気がした。なんていうかよくわかんないんだけど昔っぽい、昔のライブ映像で見聞きする感じなのか自分でも決定的にこうなんだと言えるわけじゃないけど、ノリのようなものは全体的に私が慣れているものとはちょっと違う感じなんだなという気がしてしまった。そうかーと思って興味深い体験。いやほんとおじさんたち超喜んでたなあ。そうなんだそうなのかあと。

貴重な来日公演に行けたことはとてもよかった。自分がこんなふうに有名な海外のバンドのライブをまっとうに見れる時、見る時がくるなんて考えたこともなかった。うんでもすごくおもしろかった。やっぱり生でみたらぜんぜん意識が変わる。なかなかどうしても洋楽というひとくくりにしてしまうと遠い存在になりがちなんだけれど、またよく色々聞いてみようと思う。なんか今更であったりするのは我ながらふしぎでもあるけど、いろんな音楽きくのはおもしろいじゃないかという方の芽生えがちょこちょこっとずつあるようだ。まとまりなくおわり。


この74年の映像が好きで、白いツナギ着てるドラマーの人がめっちゃいいよなあと思っていたんだけどそうかこの人がビル・ブルーフォードなのか!イエスでも叩いてた人なのかそうかそうかそうなのか〜。この人のドラムめっちゃいいよなあ。いいいい、すきすき。