液体か、涙は または水とゆめ

あなたも誰かの日記に記されているのかもしれない

ROVOの結成20周年目にあたる恒例MDT Festival@日比谷野音を見に行った。20年ってねえ、私が10歳のころからやってるんかいと思うといいねえいいねえかっこいいねえと思う。わたし、自分の人生でひとつだけ選択として間違ってなかったと確信していえることがあって、それは、02年のライジングサンに行ったということ。今から考えればその頃はSNSはなく掲示板があった時代。そこで知り合った人と現地で初めてあってともに過ごす、なんて、16の自分だからできたことなのかなあと思う。若さという無知と興味好奇心がなんも恐れていなかったんだなあと今になってみると思う。はじめて見聞きするばっかりのものにあんなに興奮して感動できたのはその時だけだったかもしれない。なんかもうそれ以後同じようなこと、垂直的行動は自分はもうとれていないような、そっから縮小傾向の小さな人間になった気がするけどまあそれはしょうがない悪いことでもないだろう。
でもそのとき、そのころ見た音楽はどれも自分が選びとったものだったんじゃないかって思う。スペシャviewsicで、CD屋で、ごくせまい範囲の中でそれでも自分が自分で選んだ音楽を、誰かに誰かがいいって言う交流も情報もおよそにちゃんねるくらい、もちろん誰かが媒体として提示しているからそれを知ることができているんだけど、どこぞで知られてとか流行ってほら見てみてっていうのがまだないなかで、誰とも共有できないけどでも自分がいいと思った音楽、それを選びとってきたんだなあと思う。まあみんなそうだと思う。それは今の時代でも同じと思うし。私のなかではろぼがそのひとつ。ろぼのみなさまありがとう。
ろぼを聞いているときそれは温泉のなかでぬくぬく泳いでいるような心地気分になっているなあと最近は気づく。

今年は開場がおしぎみで、15時についたらクラムボンのリハがまだやってる。勝井さんが参加してるのも聞こえてくる。ぼーっとしてたら目の前を山本さんが通っていった。ぬお、と思って目でおいかけてたああの人がうわさ?の奥さん?と思わしき女の人と横並びで花壇的(花壇じゃないよな、あれ)なとこに座っていた。なんか、どうでもいいっちゃいいんだけど、山本さんが普遍的幸せを育み享受してるかんじはどこか自分のなかで違和感覚えつつ、遠目ながら木漏れ日のなかでほんわかそうな山本さんを見た。みんなここにいるほとんどの人がこのあとこの人のギターで踊り狂うことになるとは全くもって信じがたいものだと思った。そのあと開場してグッズ買いにいったらそこでもまた山本さんがすれ違っていき、そのあと席ついてたらまた山本さんが横を通っていく。うろうろしすぎではないか。わたし山本さんのうたやギターが好きなわけだけど、ほんとみんなステージおりてるときはふつうの人間っぽい姿してるよなあとちょっとしみじみ思った。

今年は陽射しがまた強い。タオルストールみたいなんを頭にかぶって対策。帽子かぶっているより涼しい。いつもどおりPA横あたりがいい。野音はやっぱり後ろの方が音の聞こえ、楽しみはいいよなあと去年のキセルのときで思った。そしてトップバッターのクラムボンは定刻通りスタート!先月のシンクロニシティにつづいて見れてラッキーだ。クラムボンはやっぱりすごいのだった。こんなスリーピースというバンドは他にいないんじゃと思わせられる。3人とも軽やかに戦闘態勢だなってかんじ。自分たちでスイッチのいれどころみたいなものも会場の雰囲気にあわせて自由に出し入れできるようなそんなかんじ。ぐんぐん目の前を広げていってくれる、いくらでもどんなふうにでも羽を広げて飛べてしまうんじゃないかっていう感じ。どんな天候でも飛べてしまうんだろう。だから強い。3人だけなのに、3人でやることがおもしろい。まるでなんでもありみたいに見えてしまうけどでも3人でやれることしかやってない。すごいなーと思ってしまう。シンクロ二シティのときよりはハードめなセットリストというのがまた面白い。後ろの人たちがドラムの人超クールだな、とか言っていた。

次はDE DE MOUSE、一昨年のリキッドMDTで見た以来。あのときはDJセットにツインドラムだったけど今回はドラム、ベース、鍵盤の3人体制。相変わらず髪の毛サラサラだなーって思いながら、きらきらした鍵盤の音をなびかせながらこれはただの序盤かなと思っていたら徐々にあげてくる。でもたぶんもっと音量でかいほうがいいような、そうゆうことだけでなくちょっと物足りなく感じてしまう。個人的には屋内で聞くほうが好きそうだ。しかし本人は緊張しているのか喋るとすごいまごついていて演奏はあんなにキレキレでやってるのに、意外だ。人間なんだなあ。でも改めて、野音でろぼの前にやるというのは大変なことだなと思った。ろぼ待ちのお客をどう盛り上げられるか、それは露骨に反応として出てくる。ゲストというのも大変だ、と最近ようやく思う。最後のほうでぬけてトイレへー。

準備万端でROVO、その瞬間から空気が神聖になっていく気がする。いつもながらみんなかっこいい。みんな好きだーって気もち。その気もちが昔より純粋度あがってる感じはする。子どもみたいな心地の気もちで好きだーって思ってるふしがある。

一曲目はKNM!、芳垣さん岡部さんのドラムが静かになり始まると自分の集中力もお客さんみんなの集中力もぞくっとそこに集まるよう。まあ大方の人が酒飲んでるとしたらそれはわからんが。ろぼの証明って全部LEDなのかな、だから後方エリアからでもあんなに二人がクリアに見えるのかな。それはすごく見応えがあって、今年の照明チームの仕事も素晴らしかった。ゆるーい透き通った薄いブルーの海のようななだらかさで進む。どこぞのリゾートちかもしくは秘境か、こんなに人は目の前にたくさんいるのにイメージでうかぶのは誰もいないところなのだった。終わりのほうのツインドラムの展開がかっこいい。今年は芳垣さんが20thのTシャツで紺っぽいのを着てるのは見てたんだけど、考えてみたら岡部さんもけっこう見てたのに服はよく見えなかったというか見てなかったのか。でも今年も二人して帽子はかぶっていた。岡部さんはハンチングみたいな、芳垣さんはカンカン帽みたいな。たぶんなんだかんだこの二人を一番みてたっていうかやっぱ照明が見やすいんだと思う。すばらしい。

そして二曲目でSPICAが!投票では最後にSPICAが極星を蹴落として、ええーSPICAはよくやってくれてるじゃんと思っていたけど、なんだかんだやっぱ超テンションあがってしまう自分がはずかしいけど素直ってことだと肯定するしかない領域。二曲目にしてもうペース配分忘れることにすると決めた。山本さんのギターがまたバッキバキに鳴ってきた。叫ぶ、叫んだなあ。今日一番の鳴りだったと思う。そのときの山本さんがまた超平然とした態度感を出しているように見えた。かるいドヤ顔風に、まあ遠目だから勝手な解釈気味だけど。でも言ってしまえばあとはそこまで目立たずなかんじで、もちろん鳴ってるけど物足りないかんじもあり、最後も何もしゃべらずじまいでなんとなく大人しめだったかな。でもSPICAで聞けて嬉しかった。後半のしつこさがやばいなあといつも思う。しつこいしつこいと笑いながら思っている。前にインタビューで勝井さんが例えばここは何回繰り返すかというのは何度もいろいろ試してそれで最終決めているみたいなことを言っていたのが印象的で、そうか最適な回数が鳴らされているんだなあと妙に納得させられたもんで、ああその最適なすばらしいところまでつれてってくれるんだなあといつもしつこいしつこいしかしでもいくとこまでいかなきゃならんのだ、なんせろぼがそう決めているんだから!という気もちで踊っている。息がどんどんできなくなっていきそうな、頭に酸素がまわらなくなりそう、そんんあ直前感を覚えながら。

次から新曲がつづく。3曲、これは去年やってたのと同じ曲だと思うけどけっこう変わってる感がある。去年の野音とは順番も違うし。今回の新曲1は去年の新曲2だと思う。山本さんが主に8コードを1コードにつきた1ストロークをえんえん繰り返す。山本さんはほぼずっと後ろを、ドラムの方を向いていたような。途中ひとりになり、そのギターの鳴りがひびく静寂。でもテンポが狂わないかすこし不安になる不安もかきたてられてしまうのだった。一度、ドラムが入るところとあってなかった気もするけど山本さんのギターでいえばいつも感の範囲か。この曲に関しては去年の日記見てもあんま覚えてないって書いてあるが、山本さんがえんえん繰り返しだったかなあ?ドラムとの絡みで今回は聞いてたかも。LED照明のせいか、とにかく芳垣さん岡部さんもよく見えるものだ。芳垣さんはろぼの時結構シンプルセットっぽく、特に野音ではハイハット踏んでるところが、足元がよく見えて、そこが一番好き。他の楽器は入ったり出たりでけっこう動いていく中ひたすらひとりでジャーンジャーンと音を鳴らしていくのはどんな心地なんだろうかと思う。

次の新曲2は去年で言えば新曲3じゃなかろうか。これは最近の中ではめずらしく風景的イメージをわきおこす。夕日が沈む水平線がうかんでくるようだ。だから、ステージ上に垂直に立ってる照明機材がこの曲の時に紅白ボーダーで出てきた時、色的には自分のイメージと合致しているのとしかしそれが何本も立っているからおめでた感がすごくてちょっと笑う気持ちになった。卒業式とか入学式のイメージがでてきてしまって。でもまわり誰もそんなこと気にしてないなと思って。この曲は全体にはそんな変わってない気がするけど勝井さんのメロディが前はもっと目立ってた感じの印象で、進行的にはやっぱ前に出てきてると思うけどちょっと抑え気味にも聞こえたし。新曲はどれも前に聞いた時よりひかえめの曲調に聞こえた。大きく展開するよりも前後や左右の層になじみにじんでいくような。

最後の新曲3が去年の新曲1のはず。これは益子さんから始まって山本さんと勝井さんのユニゾン、というかなりハッキリめだった曲だけど、なんとユニゾンはなくなり山本さんがソロでその部分を担当、勝井さんはそのうえでぴゃーって感じで鳴らしていた。えー、ここのユニゾン好きだったのにと思うと残念だ。山本さんのギターも意外とあまり前に出てこない。もっと前でがんがんやってほしかった。そこはしょんぼり。お陰でこのあとよく覚えていない。でも益子さんが楽しそうなのはいいことだ。益子さんががしがしのりながら音だしているの見ると、DCPRGのときの栗原さん的においを感じる気がする。

そういえばSPICAのときだったか、むみゃーっと踊りまくっている時に顔をあげたら前にキセル兄がいた。去年もほぼほぼ同じとこにいて目撃したわけで、きっと兄もついつい同じ場所に来てしまうんだろうなと思った。兄もSPICAでぐにゃぐにゃしていたから、そうだよね!と思った。まあ昨日や先週にキセル見に行ってるから、ちょっとくらいはふしぎだけど、もはやこうして観客側に一緒にいるなんてのも慣れてきた感だろうか。単純に自分が好きな音楽つくってる人が、また全然違うとこでこうして同じ音楽を見聞きしているというのは楽しいなーと思う。ステージおりたらおんなじ人間だなーと思う。兄は消えたりまた現れたり。

そしてKmaraへ。これは芳垣さん岡部さと仁さんのブルースハープではじまった。これが、これが、シンプルでめちゃくちゃかっこいい。やばい。かっこいいー!これだけでかるいトランスに入った。私はやっぱこんなんがまたまた好きで好きでしょうがない。自分のなかでうねりが生じる、そのうねりが絡まる、うねりまわってくる、小さな小さなうねりの渦がでも私の脳みそから体からを支配してしまう。音が大きいとか音がたくさんとかある必要はない。大好きだなー。そしてひたすらひたすらもりあがって、あがってあがって、まだあがって、もうこれは観客総死にするんじゃなかっていう図がどんどん見えてくる。こわいくらいだ。かるい地獄絵図だ。赤く燃えている。周りがよく見えているわけではないけど、見えない分でもこれはもうお客さんみんなしてやばいことを共有している大きな渦だと感じられた。大きな渦のなかで個々が沸点を越えてあばくれまわってのたうち回っているんじゃないかということがまるで気配で感じられる。でもみんな必死で生きている。ここまでハイな状態が全体で共有されていること、それをこんな場所で、東京のビルと木々と夜空と光に囲まれた場所で猛烈に鈍感になりながら消えていこうとしているみたいでもあった。消滅する寸前的光景。

流れるように芳垣さん岡部さんのセッションへとつづく。最近恒例だけど、やっぱ二人が楽しそうなのが楽しい。ろぼと地続きでありながらちょっとろぼから脱線しての二人のやりとり、まさに楽器で、太鼓で会話しやりとりしている。二人にスポットライトがあたり、それを観客がなにかを観戦するようにしてわいのわいのしている。ここだけ野外観戦っぽいのだ。それこそ太古のコロシアムで見ているかのような、そんなオーラをも二人は発している。私これになるとちょっとvincent atmicusのときの大建設という曲を思い出す。あのときも二人が楽しそうでなー。かっこいいのかっこいいが、もうちょっとしたかっこいいとかじゃないから、もう美しいのだ。ここはローマかー、くらいのものがここにはある。

次のNa-xはなんとなくなぜか乗りきれなかった。自分のタイミングがあわなかったのかも。ろぼの音ははじまりが好きで、はじまる前の空気とはじまりのひそやかさに潜む音の気配、その気配になにより胸躍る、そこらへんまでは意識を向けられていたのにその後で途切れてしまって。ちょっとさみしい。ここで本編おわり。なんかあっという間だったな。なんせSPICAではしゃいだ。

アンコールの拍手が鳴るなか、もうステージ上になんかギターとか出てくるし明らかに合体な雰囲気。そしたらなんとなんとROVOクラムボンの合体が!考えてみたらROVOにスリピースのバンドが加わるなんてそうないもんだろう。でもクラムボンだからありえたのかなと思った。一緒にやると、クラムボン側が受け入れないとできなかったことだろうし。それは両者それぞれが、また共に稀有な存在であるなあと思えた。クラムボンの柔軟さといって片付けてしまうこともできない、対応力、なんでもやってしまえる度胸や好奇心、そんなものの強み。ミトさんはふだんベースだけどギターもひく、郁子ちゃんはたぶんタンバリンと後半に歌とその存在感で踊り、大ちゃんは最初なんか小さい打楽器持っていたのかな?そのあとホースみたいなんでぶんぶんまわすやつをやっていた。
それで何やるの?と思ったらD.D.E.で泣ける気持ち。今ツアーではやってないけど最近の曲では一番定番化しつつあり私も好きな曲、聞けないのかなあと残念に思っていたのにそんなことなかったー!すごい!うれしい!なんて気持ちが追いつく間もなく爆発して疾走していくのがこの曲だ。一瞬、まるで化学爆発的なものを見て聞いた気がした。でもそれはあまりに一瞬のことで本当に見たかどうかは怪しい。でも見たような気がする。それはぼんやりとでも閃めくものを見た気がするんだなあ。ほんとうにすごい、この高まりきっている会場を更に追い越してもっともっと高いところへいこうとするエネルギーは、どこから生み出せるものなのかもはやわからない。予想や想像を越えている。それがろぼなのだと言うのなら、人智をこえたもののようだ。自分も踊りくるって何が何だかわからない。まわり全体もたぶんそんな、やばいってことだけは圧倒的に肌で感じる。人間がこんなに何かに熱狂しあっているのは、他で見ることがない。宗教でもドラッグでもなく人力の音楽だ。そのことに胸うたれている。どうして鳴っているのかは謎だ。ステージからは一体なにが見えてるんだろうかなあ。本当にすごかった。すごかった。もう永遠に出会うこともないだろうあの時間。抱きしめたいくらいすばらしい時間。終わってしまっても、ああぶじに終えられた、と思う。

アーカイブボックスも買った。終わった。また来年ここで見たい。