それでも時々死にたくなる。死にたくなる気持ちがおしよせてくる。それをずっと見ていると、よせてはひき、よせてはひき、どんどん大きな形となった波になってのまれてしまうんだろう。だから、もう、その前にそこを去るんだ。自分の尻をうんこらしょと持ち上げるくらいのやり方を、逃げ方を私はもう心得ている。それを見つめちゃいけない、心とらわれてはいけない。もう、そんな余裕ある時間さえないのだから、だからもう立ち上がってそこを去るんだろう。

でも、またそこにいってしまう自分がいる。夜の海の前に、砂の上に座っている自分がいつの間になのか気づくといるのだ。また、見つめている。

自分は生きていることがこわいと思う。生きていることがこわくて、はやく死にたいと思う。本当はもうここには酸素がなくなってきていて、迫られていて、もう息ができなくなりそうで、自分の息が咽がひきつる前に、目の前に酸素がせまり、なくなってしまう前に、どうにか死なせてくれと願っている。咽のひきつりがこわいのだ。干からびるように、なにかがつまるのではなくなにもつまるものがなくなってしまうなんて、想像したらもうそれだけで苦しいのだから。

無能な自分に嫌気をおぼえ、みじめな気持ちになる。自分を消したくなる。消す自分は残るつもりなんだろうか。