11/12、13でROVO代官山UNITの2daysを見た。1日目はニューアルバム「XI(eleven)」発売記念LIVEツアーであり、2日目はROVO結成20周年シリーズファイナルワンマンLIVEと題されていた。ROVOを2日続けて同じ場所で見れるなんて、もうこれが最初で最後かもしれないと思うくらいの、火星にいって帰ってこれないくらいのそうゆうスケール感がなんとなく自分の中にはあった。すごく遠いところであり、でもほんのタッチの差でそこにいけたのであり、そのタッチを逃せばもう二度とこの機会はないかもしれないみたいな、そうゆうような意味あいの感覚なんだけれど。

1日目はゲストにKoji Nakamura(バンドセット)とのことで、去年のEASTでやったバンドメンバーと同じ。そのときはちゃこちゃんの真ん前で見てたので音がでかくてひえーと思ったけど今回は特にそうゆうこともなく、あれは場所柄だったのかな。うーん、私はもともとぜんぜんスーパーカーを通ってきていないので、ナカコーという人に親しみがとくになにもない。
でも、去年の時もそうだけどナカコーファンと思わしき人達がけっこう前の方にはいたりして、あまり自分は興味ないけどその時前の方にいて誰かのファンの人達がどんな風に見えるかみたいな客観的に見れることって実はすくないので、人が自分が見られてるなんてこともどうでもいいくらい眼もこころをも奪われているときの陶酔さって、こんなかんじなんだなー私もきっと同じなんだろうなーちょっと恥ずかしいけどでもしょうがないよなーなんてことを思ったりする。人が目をきらきらさせて、身体もうきうきしちゃってまるで躍動しているようなのを見るのはそれを見るこっちがなぜかどきどきするし、何かをこんなに好きでいる姿というのはいいものだなあと思う。なにかにこころ奪われるというのは例えば宗教やドラッグも同じなんだろうかと思う。でもそれらとは紙一重できっぱり違うんだろうとも思う。人をそれだけ惹きつけられるものをもった人たちは、才能であり役割であり表現者なんだなあと思う。


さてROVOEclipseからはじまる。例えばこの曲がこうやって2016年の11月に鳴らされることなんて、新曲として演奏されていたころには想像もつかないわけだけど、曲が生まれて育つというか根を張りすくすくと大きくなって枝葉をのばしていくことによって変わる風景みたいな、そうゆうことがとても豊かでたのしいなあと思う。それにしてもこの一曲目からなんかもう夏のフェスとツアーをやりぬいてきたROVOとして、ぐったぐたに煮込まれまくった変容したどろどろの状態になっている感じがして、なんだこれはどうしたのみたいになってて思い出すと笑えるけどそんなROVOを見れてうれしいみたいな。そうかROVOってこんなふうにもなるのかーと。こんな人たちでもこんなに変容していく。いけることの実証。やっぱりやっぱりROVOは特別だなー。メンバーそれぞれに個々でで見る機会があるから余計にそう思う。この6人で集まるってこと、人が集まって音を鳴らすことをじんじん感じる。以下Twitterより()内はつけたし。

XIは芳垣さんのドラムの入り方がいったいどんな拍の捉え方してるのかと理解のきかない入り方するのでそこに超ぞくっとする。かっこいいー。今日の芳垣さんはなんだかしょっぱなから大変色っぽいのだった。帽子ないせいかな?今日は肉体的であった(これは二日目になって照明のせいもあるかもと気づく)
Kmaraがはじまってしまうと興奮せざるをえない。そうでしょう。いろいろうめこまれている。すでに。山本さんがキレッキレにギターかましてくると益子さんがいつもめっちゃ楽しそうに笑ってるのでその特等席うらやましい。山本さんがやばいと思うけど自分もやばいので記憶がとぶ
今日の山本さんはめずらしくメガネなし。見えているのかわからない、メガネないからかいつもより視線鋭くてどこ見てんのかわからないいところがこわくてそれがわくわくまた興奮してしまうのだった
REOMはまたぐでぐてに煮込まれていた。ぶつぶつと泡だつほどに。魔女の鍋より深くて色が見えない。こちらも骨までとかされそうに煮込まれていく。とけるというか、自分の繊維がちぎれほどけて混ざっていく感じ。自分はそんな風に失われる
Liegeは去年のサムズアップではじめて聞いたときから勝井さんの奏でるメロディが印象強いのは形として変わってないかと思うけど、今まで聞いた中で一番しっくりきた。すごくよかった。山本さんががっつり見せてくれる。柏餅になりそうなくらいうなだれる。また照明もすごくよかった
芳垣さんと岡部さんのセッションが大好きで、そこでちょびっとだけど互いに交互に叩きあうのとき、ヴィンセントの大建設みたいですごく素敵だなと思う。私の大好きなやつだと思う。組み細工みたいにばらばらのはずのものが一つに収束していくようなところ
R.o.Nは音源でユザーンのタブラがあってこそのものがある。だからもしかしてとは思ってたけどまさかまさか、途中からユザーンが登場するなんて!かっこよくて笑える。二人のドラムだけだと泥くさい走りなんだけどそこにタブラの高い音が入ると急に軽くなって更に加速する感じ、すごい乗りもの(数日前に仁さんがTwitterでたしかユザワくんも出ますって書いてたの見たはずだけどもう一度確認したら消えてて、あれ、もしやフライングだったのかとは思っていたけど、それにしてもなぜどうしてシークレット扱いで曲途中からの参加にしたのか。曲前から机用意してユザーンきますよのスタンバイは見せておきながら、なら最初から一緒に演奏してほしかったなーとは思う。だって音源だとあの出だしからタブラ鳴ってるのめっちゃ好きなんだもん。まあでもあんな曲途中から突然出現して大急ぎでタブラ並べてこの11拍子の曲に混入していくというこれまでにも今後にもそうそう見ることもないような図を見てしまったことはなんとも衝撃的だった。重機でガコーンと頭なぐられたようなものがあった。笑った笑った。すごく楽しかった)
芳垣×岡部×ユザーンてのは、なかなかの夢の共演だった感じがある。去年のEASTのとき一緒に叩いたらいいのになーと思っていたからほんと目の前でそれが見れてうれしかった。よくあの曲に途中から入れるなあ
近美でなんとなく腰痛がきてしまってライブ大丈夫かなっていうのはあったはずだけど、ROVOなら見始めてしまえば平気だろーというのはあった。そして岡部さんと芳垣さんの音に乗っかってしまえればもう体は軽くなってしまう。音が少ないときのリズムにまだ余白があるときの世界が好き(近美のトーマス・ルフ展を見てから来た)
昨日のライブ中、曲中に岡部さんのスネアが破れるっていう場面をちょうど見えなくて目撃できなかったのがさみしい。芳垣さんが心配そうに見てるのだけ見えた


XIの曲は去年のサムズアップで初披露だったはずで、私はそのライブにいっていた。はじめてのサムズアップで、なんて近さ、距離感でROVOを見れるんだここは!と驚愕した。そしてそのときにはじめてそんな距離で見たROVOの生々しさに改めて感動した。特に新曲においてはまだ楽譜というか指示書的なA4用紙が置かれているのも見えて、メンバー間におけるアイコンタクトやらのやり取りを目にすることができて、うわ〜こんな感じにやってるのかあと今更ながら思うとROVOというバンドもみなさん人間であったのだなあと改めて人力トランスの中身、実態に触れられたような感じがあり、びりびりとここでまた感化されてしまった気がする。ROVOを前の方で見るってそれまでぜんぜんなかったから。サムズアップの半円描いたつくり、更にステージより高くなる後方は充満した人間エネルギーを発生させるROVOを見るには本当に面白くてすばらしいなと思う。正面だけでなく側面ぎみから見れるのがまたダイナミックな新鮮さだった。

去年はそのサムズアップから野音、EASTでのsoundohbと見て、今年は野音、8月のサムズアップと、XIの曲が出てきてからのライブは順当に見てこれた。だからXIは自分のなかで今にまでで一番馴染み深くもなっているような気がする。ROVOはライブをやっていく過程で曲もアレンジしていくという話だけど、まさにその変わっていく感じや変えずそのままにしてる部分を見聞きする定期観測ができた。それは単純におもしろかった。

私が見聞きできるのはROVOの曲作りの過程のほんの一部の点にすぎないけど、その流れのなかに自分もぽちゃんと片足踏み入れられたような気がして、ひゃっとするようなその変化に対する触れ合いが楽しかったなたと思う。ROVOは年間のライブ数が少ないけど、その少ないなかでも変化を見つけられることの面白さっていうのは格別の感がある。例えばどんなスケジュールで集まってスタジオ入ったりやりとりしたりしているのか、個人の技能が高いからこそ集まったその都度で曲作りを高めていけるのだろうけど、勝井さんがインタビューで言っていたようにXIは山本さんが持ってきたワンフレーズを発展させた、よくそれだけでつくれたものだ、みたいなこと言っていて、そんなん聞くとああそうなのかあーと妙にまたこの人たちも生きた苦しみを味わっているのだなあと思ってしまう。それはたぶんROVOだからこそ感じるのだと思う。たぶん、16の時に知ったぶんがそこにあるんじゃないかな、わかんないけど。

音楽の作り方なんて私にはぜんぜんわからない。だから音楽ができあがるだけで、それをしかも他者と一緒につくるなんてわけわかんないけどすごいし、だからこそやる側にとっては面白いものがあるんだろうとも想像する。そんな共有はやってみないとわからなくて、やらない人間には想像もつけないけどやる人間には一人じゃできない興奮があるんだろう。今ではそんなふうに考えたりできるけどそんなことすら考えもしなかった10代のころから目にしてしまったROVOの音楽でありメンバーというのは簡単に単純に言って超人みたいな像であった。抽象的であったような。そこからの具体性をもちだしたROVOは私にとって変わっていっのではないかと思う。そこからがまた新たな出会いになれたのではないか。まあほんと徐々に、次第に、いつのまにかでありどんどんとであるようにROVOの音に自分が近づいていけるような、そうそれは一方的にこちらからむこうへ近づいていく作業ででもいつもその周りをぐるぐるしながらじろじろ見ているにすぎないけど、音を聞くこと見える音がよりくっきりはっきりするように、その淵が見えるようになってきたのはおもしろいな。

まあ近年のそんな積み重ねがこの2daysでがっちり自分にははまったような気がする。2日とも前の方で見て、ああほんとにこの人たちはめちゃくちゃ最高におもしろくて楽しくて、すごいすごいすごいんだけど、でもこんなにキュートで親戚のおじさんかくらいの親しみを持つことさえできるこのお茶目で人間味あふれる人たちが私は大好きなんだなーと思うと、抱えきれないけれど落とすこともできない大きな大きなふくらみが眼の前に広がってしまう。

1日目セットリスト
Eclipse
XI
Palma
Kmara
Woof session
Reom
Liege

en.1 R.o N
en.2 White surf


2日目ははたしてどんな曲をやるのか。山本さんが明日は微妙な曲を…などと不穏な発言を前日残していたけど、つくづくこの山本さんの意味深なようなただの虚言のような人をもてあそぶことのできる言動というのは、昔からかわらずかわらず続いてきてる、水脈のようななにかだなあ。ROVOならでは。

さて2日目になってはっきりとわかったけど、1日目も、1日目よりもさらに2日目、基本的にそれぞれ個でスポットライトあびてる形だったので、だから普段他で見るときより芳垣さんの肉体的な感じがよく見えたのだと思う。いつもはわからない筋肉がすごくよく映えて見えた気がした。Tシャツ着てるとはいえ、あんなに二の腕の筋肉に陰影がついてみえるのは滅多にない。芳垣さんと岡部さんは真上からのスポットだった。んもうそれがとにかくこれでもかというほどに美しくてうっとりしまくっていたのはたしかだ。うはー、かっこいいーって。こんなにもひたすらひたすらに曲を演奏していくなんてなにかのむごい仕打ちのようにさえ思える。その境界ってなに?

Batisも好きだけどBAALはすごく好き。地下にもぐってもぐって掘っていくみたいな世界。地下の石油や鉱山のにおい。赤くほてった世界がぐんぐん広がる。熱くて、酸素が薄いのに、興奮して息がはずんでいく、でも冷静でぎらぎらしてるんだなー。ときどきこうやってすごくはっきり情感がわいてくる、そらは他に代え難いなんともいえないその日その場限りでつくられたカクテルを飲んでるみたいな感じで、今になって思い出してものどの奥が少しカッと熱くなるようなそんな味わいが残される。やっぱりはじまってしまうと体が楽しむ、楽しむ体制にはいれることはうれしい。ROVOにはやっぱり体調整えて万全の状態で向かいたいってものなのだ。

Loquixはやるんじゃないかなと思っていた。矢で射つような、射たれていくような快感だと思う。色や風が見えてくるような、そういえばこんなふうにあらゆる情景の豊かさが見えたのはちょっと久々だったかもしれない、でも、ライブの真っ最中はそんなことすら頭によぎらなかった気がする。自由になれるようになったような、そんなものだったのかもしれないし。

HAOMAは山本さんが始まってしばらくするとやけに何度もギターがはずれてしまうというか、何度も入ってはあわず、みたいな感じだから何かあるのかなと思っていたらどうも芳垣さんの方を見てなんか伝えようとしてる仕草をしているが芳垣さんも曲中でずっと止まれない両手両足で叩いているような状態のときなので、顔ではてな?みたいな顔をしている。そのうち袖のスタッフさんに何か伝えようとギターひきながら顔とかでなにか指し示しているも、どうも伝わらず、伝わんねーというような表情をしていた。ギターがうまくはまっていかないから、モニターのかえしが悪いってことなのかなと思うもどうもそうゆう指示仕草ではないのでますます謎だったが、結局そのあとはもう開き直ったのかガーっといった山本さん。この流れを見てしまっていて最初は大丈夫かな?と少しハラハラしたんだけど、なぜか途中からはこの思い通りにならないうまくいかない状況を山本さんはどう処理するのか、切り抜けるのかということに面白みを見出してしまい、わくわくし始めていた。なんかその流れがカオスだったな。ROVOははじまってしまうと楽曲として止まれない運動があって、特にその流れが中盤ともなればお客さんもできあがってて意識も混濁してきてるような空間だから、そこにおいてうまく自分の音が出せない山本さんの苛立ちがありながらでも全体は変わらず運動を続けているということがよくわかぅた。結局そのあと山本さんはあきらめた様子で立て直しておんどりゃあとぐおおおおっとギター弾きに行っていたので、ああやっぱなんだってやればできるよねえと勝手にわかった気になる。しかしこれはレア曲だったのでは。この山本さんの一件ぬきにしても、前半から後半への展開がおもしろかった。ちょっとぬるくなりがちな空気ありつつ、でもこの曲でも芳垣さんと岡部さんなんてずっとずっと叩きっぱなしなんだもん、ちょっと内心大丈夫なのこんな叩き続けて、、と思ってしまった、いやそんな心配無用も無用なんだけど、すごすぎ。

アンコールでこれもやっぱりやるんじゃないかと思っていた極星。なんでそう思っていたかは5月のツアーの投票でベスト5で惜しくももれたものをもってくるんじゃないか予測に基づく。しかしこれはすごくよかったなー。深く深く潜ったような世界の夢想。まるで深海を自分が魚眼を持って泳いでいるような皮膚の表面を感じる。色や光やゆらぎやなびき、意識がそまっていってしまう。

そして最後はSPICA、ああ私はスピカを聞いて大きくなってきのだ!というような気持ちで踊りつくした。いやーほんとスピカではどんだけでもこんだけでも踊れてしまうような楽しさがある。本当はもう床にころげまくるほどに踊りたいような、それでいて誰よりも高くジャンプできほどととびはねあがって踊れるような、なんかもう自分のなかではすごく自由になれるような曲だなあと思う。全神経がときほぐされてしまうように、自分がついにようやく解放されるような気にさえなれる。とにかくうれしい嬉しいうれしい、もう全部を捨てされるようなこの数分間。SPICAはFLAGEに入ってる曲だから、私が初めて買ったのはFLAGEだったから、意味なんてぜんぶ後付けなだけだけれど、ROVOとこんな風にお付き合いできてうれしいみたいなそんな気持ち。

ちょっと、けっこう時間がたってから書いたり書き足したりであまりまとまったものにはできなかったけど、ROVOの2daysなんてのはこれが最初で最後かもしれないという思いもあってすごく楽しみだったしそれを楽しむことができたことにほっとしたような気もする。ROVOと出会ってなかったらねえ、なんて、想像もつかない自分自身のこれまでのことであり、また、ROVOのメンバーにとってのこのROVOというバンド、というようなことまでインタビューを通して見聞きしたり考えたり感じたりすることのできる時間だったなあと思う。いつか音楽にはおわりがくるだろう。けれどついぞ終わるその時まで、自分はそれを迎え受け入れたいと思うし、願う。そんなことまですとんと胸におちてくる、それはROVOだから教えてくれることだと思う。

2日目セットリスト
Batis
Baal
Mattah
Loquix
MIR
Haoma
n'PoPo〜Cisco
en.1 極星
en.2 Spica