オウガのライブを見るために松本へ向かう。新宿のバスタを8:55に出る京王バスに乗車。2〜3週間前、最後の1席をギリギリで購入した。続けて山梨に仕事で行ってたのでまた同じ中央道の景色だなあと思いながら、名古屋に行くときだって同じ景色だったけどと思いながらわりとあっという間に松本バスターミナルに着いた。予定より早く12時過ぎくらいに着いたような。天気予報では終日曇りだったのに、すこーんと晴れていた。でも気温は高くないし、湿度もなく、一年中こんな陽気だったらなあという天気。やっぱり松本は気持ちのいい街だなーとたやすく思う。ただの観光客だから。前日にグーグルマップで探して良さそうと思ったガレット屋さんへ行く。ランチセットでスープ、ガレット、ドリンク、デザートクレープのついたものを頼む。女性2人だけでまわしているらしく、慌ただしそうだがお店の人の顔が見えるのは良い気がする。ねぎ好きなので松本一本ねぎと肉の入ったガレットを頼んだ。少し甘酸っぱいにおいがしたので、ねぎはちょっとマリネっぽくされてると思うけど食べると酸味とかはない。ねぎの甘さ、ねっとりした繊維が良い。これはもっといろんな種類を食べてみたい気になる。カボチャのスープもしっかりと味があっておいしい。固形物があるわけでもないがよく味わえる良さ。結構お腹いっぱいに。
それから、すぐ近くにある、やはりグーグルマップで目をつけておいたmonbusという雑貨や衣服を扱うお店へ行った。店構えは上品だけど素朴な感じ。松本はそうゆう感じが多いかも。旅にきたときのほうが、こういったお店に入りやすくなる気がする。母への誕生日プレゼントを探していたので、目的がはっきりしていたのもあるが、なぜか寛大な気になっている自分がいるような。店主の方は気さくに話しかけてくれて、松本の良さの話など。私も色々条件が揃うなら松本に住みたい、数年前はたしかに長野に、松本で、暮らしたいと思っていたものだ。洋服とか靴もいいもの揃ってると思うけどそれらは見ないようにして、プレゼントにはネックレスを購入。あと自分用に靴下。
そのあとぶらぶらしながら小皿を買ったりした。そこから松本市美術館へ。徒歩ですべて回れるので良い。空が広い。企画展の日本画は時間もそんなにないしパス。常設の草間彌生を見る。思っていたより見応えがあった。半分量のインスタレーション作品はずっとそのままで、あとの壁面作品は入れ替えするってことなのかな。鏡を使ったインスタレーション作品は4点くらいあり、あ、でもこんなに違うんだ、それぞれ多様なんだ、と鏡なんてどれも同じようなものと思い込んでた自分がうきぼりに。特にシャンデリアの作品は良かった。光があるせいだろうか。
17時くらいになり、はたまた目をつけておいたカフェへ。移動途中で雨が降ってきた。すぐやむだろうなとは思いつつ民家を改装したようなつくりのカフェ。女性ひとりでやっているみたいだけど、お菓子の写真が美味しそうだったから来てみた。カフェオレも丁寧な味でのみやすく、美味しかったし、浅煎りのものを使っていると言ってたな、レモンケーキもきゅっとすっぱくて良かった。予想通り雨はあがっていたので松本駅のコインロッカーへ荷物をいれに行き、松本Alecxへ。駅からすぐ、複合施設みたいな建物の地下へ。階段ですでに人が並んでいた。開場時間を過ぎて列が動いた。進むと、トイレのある廊下、壁面にはバントのポスターやチラシが沢山貼られていていかにもライブハウスっぽい、そのことになんだか感動した。松本という自分のいるとこから離れた街に来て、ライブハウスという場のもつ特徴的な空間はここでも通じているんだなということに安心したのかもしれない。ドリンクは500円でソフトドリンクなら2枚目のチケットがもらえた。こないだ秋葉原グッドマンに行ったとき、500円で2枚もらえた時代があったんだよなあと600円で1枚のこの悪くしかなっていない景気に思いはせたものだが、まさかまだこんなサービスをしてくれてるところがあったとは、とまた感動。当日券も出してたくらいかしキャパ300に対して全然ぎゅうぎゅうってこともないし、ほどよく埋まっている程度の客入りでちょっと意外な気持ち。でもとても見やすい環境ではある。天井が高く、ステージは低すぎず高すぎず。よく考えたらオウガをこんなキャパ、こんな感じのところで見るって今までないのかもと思う。スーパーデラックスで見た時が近さは似てたかもしれないが。実際始まってみると、前の方でもないのに4人の表情がよく見えて、あ、こうゆう感じなんだなというのがわかった、ということが初めての感覚だったので、今まで見えてなかったんだなあとわかった。馬渕さんは立ち位置や照明の関係上にもよるのか、なんとなく知ってた気はするけど、出戸さんはこんなにずっと目つぶってるのかあ、とか、馬渕さんと清水さんはやはり目線を正面へ、客席の方へ向けていることも多く目があった気になってドキいっとすることが何度もあった。勝浦さんはやっぱりそんなに良く見えないけれど、もともと個の強さを感じる気がする。目が見えるので、見えることから受ける情報というのは確かにある。見えなくても支障はないが。けれど見えることから膨らむイメージの手触りも確かにある。それはここに来なければ知らなかったことかもしれないなあと思う。キャパが小さければ、それだけステージ上でのメンバーの距離感も近い。そんなこと一つとっても感じられるものは普段の東京で見るのとは違う。演奏するのに距離感なんて重要かといえば大したことじゃないだろうとも思うが、そうゆう測りではない気がする。でもそういったものを発見するのが面白い。内容の主なことはツイッターで書いた。セットリストは一応なんとなく記憶したものをもとにしている。
一昨日、松本ALECXでOGRE YOU ASSHOLEを見た。東京の日が行けないので松本に来てみたが音の聞こえが良いライブハウスで良かった。新譜の曲をどう演奏するのか、また新譜の曲とこれまでの曲をどう並べ、かみあわせてくるのかが気になっていたが、おぉ?っと驚くくらいにするするなじませあっていた pic.twitter.com/H2idb00XNX
— きゅー (@qyuu) October 1, 2019
大きく放物線を描くような深いギターのドローンとシンバルの響きではじまりこれはどうなるんだろうと思っていたら清水さんのベースの音が出ないようだ。歌が入る手前で華麗にストップ。すぐ解決、どこからやり直す?みたいな談話。お客さん含めみんなほがらかに笑う雰囲気が印象的
— きゅー (@qyuu) October 1, 2019
新しい人から始まり、5曲目くらいまでですでに新譜とそれ以外の曲がハマっていたのでへえ面白いなと思う。こないだwwwXで聞いたとき、新しい人の歌詞ははっきりと聞き取れてとても印象的だった。スローなのは良い。その時は直線的に遠い向こうといった感じがしたし、自分たちの知らない、
— きゅー (@qyuu) October 1, 2019
出会っていない人のことなのかなと想像した。でも昼間行った松本市美術館で草間彌生のシャンデリアと鏡の作品で無限の反復を見ていたとき、過去と未来というのは一本の直線上に反対方向にあるのではなく同じ方向にそれぞればらばらに伸びているようにも感じられた
— きゅー (@qyuu) October 1, 2019
そのとき新しい人は決して未来的にだけいるのではないような気がした。新しい人という概念設定がおもしろい。過去と未来だけで出戸さんが弾いた、音源では鳴らしてないフレーズが奇妙で良い。そのあとはねる曲が続くと勝浦さんのドラムがキラキラまぶしい。記憶が曖昧だけど本当みたいだったか、
— きゅー (@qyuu) October 1, 2019
馬渕さんのギターが魔術的になった。新譜の曲はほぼ音源に寄せたものとアレンジのあるものにわかれる。新譜のなかでもシンセの印象が強い曲は良い意味でスカスカだが、ライブで鳴らすと身体的になっていたので安心した。なってるだろうと思いながらも不気味さがなかったわけではない。
— きゅー (@qyuu) October 1, 2019
でそれで以前までの曲とのバランスというか、つながりあうための調整があるような感じがした。折衷てことでもないが。欧米と日本では空気が違うから鳴りも違うみたいな話を聞くが、ここは松本だから鳴りが違って聞こえるのか?とさえ思ってしまうくらい、これまでの曲が新譜の曲のなかに馴染み寄って
— きゅー (@qyuu) October 1, 2019
いる感じがして。今までと同じ曲だけどなにか違う、みたいなもの。それは自分がいつもいるのと違う場所にきたせいなのか?と思いもするが、土地の違いなら違いで面白いことに変わりはない。
— きゅー (@qyuu) October 1, 2019
11曲目〜の後半は凄み。特に朝は良い。リアルに熱を出した時みたいにじわじわあがっていくオウガの
グルーヴ感は時空間の延長されるような特色があって朝もそれに連なってるけど、朝はより一層ミニマルなぶんPA効果もたぎってくるのだろうか。目をつぶって聞いてたら後半で急に頭部だけもっていかれそうなトリップ感があり、うわなんかきた、やばっと思って慌てて自分を引き戻した。
— きゅー (@qyuu) October 1, 2019
脳だけで、というか脳だけがイってしまう快と危機があった。そのままヒーリング音楽のように熱をぬぐっていくのがまた良い。アンコールで動物的/人間的、こないだ聞いたのがちょっと寂しすぎると思ってたので冒頭から生音でドラム入ってる今回は良い調和、熱の持続性があり好きだった
— きゅー (@qyuu) October 1, 2019
キャパ300ほど、ステージはそんなに高くなく天井は高いという場所で普段全然見えてないんだなっていう表情などがよく見えたのは新鮮で、ステージ上では一体どのように聞いているのか、この音を鳴らすためにどれだけの時間を重ね共有しているのか、バンドというのはひとりでやるより縛りや制限がある
— きゅー (@qyuu) October 1, 2019
とも言えるだろうなど想像がよぎり、今現在の音が聞こえることの喜びがあった。ドリンク代が500円でソフトドリンクだとチケット2枚目もらえるの、もうこの世から消え去ったサービスとばかり思っていたがまだあった…。ツアー初日だったので新譜曲に絞って書いてみた。おわり pic.twitter.com/TiBxBOhPqt
— きゅー (@qyuu) October 1, 2019
音が少ないことは私にとってはより好みなのかもしれないと思う。もともとギター2本のバンドをあまり好まなく、それは音が多すぎると感じてしまう、うるさいと感じてしまうところがあるからで、ギター2本で好きになれるバンドは2本にそれぞれの役割を感じるようなバンドに限られてしまう。全ての楽器が鳴った時、余白があることで自分の体が入る余地があるような感じがして、それが好きだし気持ちいいと思っているのだ。そうゆう意味ではオウガは私が知った頃には十分音の隙間を感じられる音楽だったのだけど、ますます音を鳴らさない方向は好ましさを感じてしまう。とは言えライブではそこまで鳴らしてないこともないか、いやでも他に比べたら鳴らしてないのかも、でも他をよく知っているわけでもないし、と思うと判断がつかない。鳴らさないとは言え鳴らしている。密集しているわけではないので、個々人の音により一層耳がいく気がする。どのようにどんな音を出しているのか?出そうとしているのか?それを聞くことはすごく楽しい。音そのものに想像をのせられることはちょっと独特の行為になるなと思う。それは行為そのものでありながら、抽象的なものにすり替わる。うまく言えないが。
ライブは21時過ぎに終わった。ちょうど90分ほど。余裕を持ってワイドビューしなのに乗って長野まで行き、長野から新幹線に乗って実家へ帰宅。23時過ぎ。良い機会だった。書き記したいことがたくさん出てくるときもあれば、ないときもある。それぞれある。でも、たくさん出てくることそのものの面白さは果汁があふれている感じ。