私はもうずいぶん遠いところまで来てしまった。そんな感覚をぬぐいきれない。では私はどこにいたと言うんだろう。どこかにいたという感覚は、あいだ、ぬけている。でももう遠いんだ遠いんだ。限りなく遠いんだ。そのことがただ苛立ちで焦りで後悔でどうしようもない、遠いということの前ではもうただ無力に、もう力むことなんてできないんだとうなだれてしまう。そしてそれを隠そうとする。