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朝からアマゾンプライムで「ある女流作家の罪と罰」を見る。日本未公開作品だけど評判がすこぶる良い、という。前からウォッチリストに入れてあったのだが明日までレンタル100円というからラッキー。ヘッドホンをつけて見たが、音楽と映像のあわさりがしょっぱなからすごく良くて驚く。ヘッドホンつけて見る方が断然集中できる。ちょっと見てて、あれこれってもしかして時代設定は50〜60年代なのかな?と思って見終えた後に調べたら67年だった。あー、やっぱりこの時代のニューヨークなんだと納得する。この時代の良さみたいなものがだんだんわかってきたというか、掴めてきたというか。それをまず最初に叩きこまれたのがキャロルだったんだけど、雪の降るきらびやかでいて寂しげな横顔が似合う感じの街いうのは色んな作品に通底しているんじゃないかと。ソール・ライターの写真だってそうだ。きらっとしてるのにどこかほんのりくすんだ色合いみたいな感じはすごく好き。そして話をする距離の近さ、親密さみたいなものを感じる。この作品のメインキャストふたり、リーとジャックはそれぞれ同性愛者だから一緒に飲んで一緒にリーの家に帰宅しても飲んでた時と変わらない関係のままでいる。これが異性愛者同士だったら全く違うだろう。ふたりともそれぞれにあくが強くてだからこそ一緒にいて楽しいという時間はずっとは続かない、というのは見てたらもちろんわかるのだけど、でもこんなふうに一緒にはしゃげる関係は特別なんだろうというまぶしさがある。まあとにかくほんと音楽がいいなーと思って。ジャズナンバーばかりつづく中で突如ピクシーズが鳴るのもまた良い。あー私やっぱりピクシーズのギターの音ってすごく好きなんだなとか思う。サントラを見ると音楽を担当しているNate Hellerによるものと古いジャズの曲が混ざっているようだな。ブロッサム・ディアリーの歌曲とかすごくいいな。60年代の曲か。そういえば昨晩のジャズトゥナイトでジムホールが参加してる曲をかける時に大友さんがジムホールソニーロリンズやビルエヴァンスとのunderurrent とか60年代頃が好きだという話をしていた。音楽もこの時代のものはどうやら私も好きらしいことが最近少しずつわかってきている。すごく面白かったなー。そのうち劇場公開かかるならまた見たいくらい。リー・イスラエルの感情や心情はころころ変わるのだがひとりの人間の愚かさや悲しさがけれど高尚でもあって、気高いからこそ過ちに気づくことも出来るのだろうなと思う、キレキレな人物だ。しかし日本タイトルはちょっとどうなの、想像してたところとのズレをそれなりに感じる。

その後昨日買ってきた花をスマホで撮ることの勤んでいたらピンポンとチャイムが鳴って、なんの荷物も来ないはずだが?といぶかしんで玄関窓からのぞいたら母がいた。ああ、昨日着信やらメッセージきてたのを気分がのらず全部無視してたからだ、、とドアを開ける。なんだかいろいろ食料を持ってきたらしい。一瞬、あれ?怒られるくらいに部屋って散らかってたんだっけ?!とあせる気持ちが走ったが、いや大丈夫だ私ふだんから整理整頓はしてあるんだった、なにをドギマギしてるんだ、と自分でも意外に思う。しかしこんなシチュエーションは大昔にもあったものだ。ドアからのぞいたその向こうに母がいる、大阪にいた頃もあったな。思い出される。父が車で待っているということでお昼を食べに行こうと言う。私が実家に行かないでいるのに向こうから来るってどうなんだ、と思いつつデニーズへ。ずいぶん空いていた。しかしあれだなあ、父と母の仲もほんと以前よりマシになったんだなあと改めて思う。私が家を出るのはやっぱり正解だったんだなあと思わざるをえない。ふたりとも老けていく、衰えていく感じ。すこしはおとなしくなり、小さくなっていく感じ。威張ったりする必要も、マウントとる必要も薄れていくんだろうなって感じ。家に帰って長島さんの本をようやく読み終える。話の筋を追っていくためにもミニふせんつけまくって読み進めたんだが、最後の最後の方は引用が多くて思ってたよりも新たな定義づけ、提示がちょっと少ないようにも感じられた。なんかそこに期待しすぎていたかなって気はするけど。長島さんはそもそも当事者の作家だし、自身の作品については過去の発言などからも表明はされていてそれらが第3波フェミニズムと呼応しあっているものだったというところまで導くまででも相当な仕事量ではある。なぜ長島さんがこんなことまでしなければならなっかたのか、ということがとてつもなく重い。少し前に、この本を読む前に見たartscapeでの飯沢耕太郎氏の写真の展示のレビューとか何この気持ち悪いやつ、と思っていたんだがそれがこの人のやり方なのか。なにか分かりやすそうな誰にでもわかる優しい気持ちの文体で書いてます的雰囲気が気持ち悪いなあって感じだったのだが、そんなことより事実と違う文脈を作り上げてそれで女の子写真という潮流をこしらえていたということが驚きで仕方ない。そしてそれに連なる再生産の恐ろしさ。夜ごはんにもらったハンバーグ、サラダ、春菊の卵とじの味噌汁を作って食べる。大河ドラマを真剣に見ている自分の意味がよくわからない。ナット・キング・コールが楽しいことがわかって部屋で一人でおどってる。それで結構楽しかったりする。57年のアルバム「after midnight」良いなー。ジャケもかわいい。

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