久々にでかめの現場。うちの作り物が多かったんだから、そりゃ全体規模もそれなりなんだろうとは思ってたけど、コロナ以降でこんなにでかい規模感でやるのを見たのは初めてだったから、うわー、という感慨がでかい。あーこうゆうステージ木工装飾とか、あったよね、ブースの一斉施行の風景だって懐かしい。それはぞわっと何かがうごめくそのもぞりを感じた。なんだろうなあ、そうまるでそれは以前からのつづきであり同一かのようなのだけど、そこには大きな空白があり、いや白くはない、深く黒い谷のような隙間、あいだ、断絶があり、その空間が脅威としてすぐ背後にいる。まだ全然いる、隣の部屋の扉開けたらそこは真っ暗闇なのかもしれない、そうだから信じきれなさみたいな。前ならずっとこれがあると思ってた景色、私が仕事を始める前からあったであろう景色、その連綿としていたはずの世界にほころびを感じているのかもしれない。バグの生じている仮想世界のような。つまずきを覚える。引っ掻いたら剥がれ落ちてしまいそうな。なんだか怖い気もした。まあ午前中の出だしはそんなこと考えてる暇もなく汗だらだら流しながら久しぶりすぎて感覚を取り戻すのに焦りもあったけど、ひいこらやってどうにかなった。我ながら、この業界でよくやっていけるようになったなあといささか感心してしまったりする。いやほんと昔はもっとびくびくあわあわしていたなあと。午前中で腕が震えた。関西からきてる木工屋さんや電気屋さんとちょっと話したりしたんだが、やっぱり関西の職人さんたちのするっとぬるっと最初からなんの壁もないみたいに打ち解けてるかのように人の中に入ってくる感じ、まあそこに真意のうかがえなさはあったとしても、私としてはリラックスできてありがたく、面白く思う。東京の人たちではこうはいかない。関西人で一括りするわけでもないが。そしてやっぱり木工屋さんの職人さんがもっともカッコよく見える私のフィルター。あのひょいひょいと12尺の脚立も登ってさらさらと何かを組み立て上げては崩し終える身軽さが、良く見えてしまうんだろうか。ああまあしかし本当に疲れた。しかしFさんは私の名前を呼んでくれる数少ない人なわけだ。それはとりあえずありがたいことだと思う。