ひとりで、なんでもない人になって生きていくのがこわかったのかもしれない。

何日かまえに、ふいにsくんのことを、sくんに対して思っていた気持ち、あれは一体何だったんだろうなということを考えた。その時はいまいちはっきり出なかった心当たりが、寝起きに、突然ひらめくようにわいて出てきた。当時にもなにかそんな感覚はあったと思うけどそこまではっきり言葉にはできなくて、だからよくある恋愛としての好きというみんなが使っててみんながわかりやすいものに安易に気持ちを預けていたような感じがする。今思えば。でも私にはそれは不似合いだった、おかしな真似事を、無理をして型にはめ込むようなことをしていたんだと思う。そんなことにも気づいていなかったんだと思うと、おろかなんだなと思う。過去をふりかえればいつもおろかな自分がいる。

そして私はいまどんどんと空っぽになってなんでもない人になっている。そのことに抵抗することももう諦めてる。もうそれでいいんじゃないか、最初から自分はこの程度のもので、これまでずっとただ無理をしていただけのようにも思う。からっぽになっても生きていけるんだとわかってしまった。からっぽのまま死んでもいけるんだろう。生きてることに特別な意味はなくて、それでも働いてお金を稼ぐ日々の繰り返しで人生は埋めつくされて消費していく。そんなふうに、そんな程度に人は生きて死んでいけるんだとわかってきた。そのようにしか私には生きられないんだとわかってしまったら、いろいろなものが崩れ落ちてそのままずっとそのまま。